ここまで言って、本当に大丈夫なのか。
見ている方が不安になる。
中国で、政府を激しく罵倒する動画が出回った。
しかも、かなり露骨だ。
言葉を選んでいない。
遠回しでもない。
動画の主は急進左派として知られる李毅(り・いー)。
いわゆる「毛左」の代表的な存在だ。
毛沢東時代の政治思想や政策を強く支持し、
現在の中国の改革路線や経済政策に強い不満を持つ立場の人だ。
問題の動画は、米国がベネズエラの統治者を拘束したと報じられた直後に公開された。
李毅は冒頭で、米国の行動を持ち上げた。
その直後、矛先は中国当局に向く。
名指しは避けつつも、明らかに政権中枢を意識した口ぶりだ。
「早く学べ」「なぜできない」。
声を荒らげ、台湾問題に話題を移した。
李毅はこう言い放った。
米国とベネズエラは千キロ以上離れている。
それでも行動した。
一方、中国と台湾は百数十キロしか離れていない。
それなのに、なぜ動かないのか。
話は、毛沢東時代へと及ぶ。
「あの頃は違った」「本気でやった」。
そう語りながら、感情が一気に高ぶる。
そして突然、泣き出す。
声を詰まらせ、涙を流し、
自分の頬を何度も強く叩いた。
怒りと失望が入り混じった様子だった。
この動画が広がると、
「李毅が北京の自宅で当局に拘束された」
という噂が、中国内外のSNSで一気に拡散した。
それも無理はない。
昔の中国なら、どうなっていただろう。
この内容、この言い方。
即アウトだ。
拘束され、姿を消されても不思議ではない。
ところが、李毅は消えなかった。
数日後、自らライブ配信に登場した。
「自分は捕まっていない」と、わざわざ説明した。
深夜に電話で安否を確かめられた、とも語った。
ネットはざわついた。
「あれ、まだ無事なのか」
「ここまで言って平気なのか」。
驚きと戸惑いが広がった。
比較された人物もいる。
政権トップを批判し、長期刑を受けた実業家だ。
それに比べると、李毅はあまりにも自由に見える。
政府を罵倒しても、今のところ何も起きていない。
「泳がせているだけではないか」
「まだ使い道があるのでは」。
そんな見方も出ている。
ここまで言って、まだ無事。
それ自体が、今の中国の異変を映している。
言ってはいけない一線は、変わったのか。
それとも、まだ越えていないだけなのか。
あるいは、習近平の権力基盤に変化が起きているのではないか。
さまざまな臆測が飛び交う。
今回の一件は、中国で「どこまで言えば危険なのか」という境界線が、
揺らいでいる可能性を示す出来事として、
国内外の注目を集めている。
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