日本維新の会の石平参院議員が1月6日、台湾を訪問した。台北松山空港で報道陣の取材に応じた石氏は、「台湾は決して中国の一部ではない」と語った。
この台湾訪問は、日台関係および国際政治の文脈において、極めて高度で象徴的な意義を持つ「政治的行程」として注目を集めた。
石平議員は外交部(外務省)を訪問し、林佳龍外交部長(外相)と深く意見を交換したほか、林部長の案内で総統府を訪れ、「台湾民主の歩み展」を見学した。さらに、立法院(国会)での委員らとの交流や、インド太平洋戦略シンクタンク主催のシンポジウム「中国といかに付き合うべきか」への出席など、極めて密度の高い日程が組まれている。
この一連の動きは、台湾メディアのみならず日本メディアも大きく報じており、日本社会がこの訪問を「現実的な影響力を持つ重要な外交事象」として捉えていることを示している。
中共の「虚構」を打破した入国
今回の訪問で最も劇的な点は、中国政府が石平議員に対して入国禁止措置を取っていたにもかかわらず、彼が台湾の土地を踏むことを阻止できなかったという事実にある。
中国共産党にとって「台湾が中華人民共和国の一部である」という認識は絶対に曲げられない核心的な認識だ。そうであるにもかかわらず、入国禁止したはずの石平議員の台湾入りを中国共産党(中共)は止める事ができなかった。
中華民國のジャーナリストで産経新聞前台北支局長の 矢板明夫氏は自らのFacebookアカウントでこれは、「中国と台湾は互いに隷属しない」という政治的現実を、最も平易かつ直接的な方法で国際社会に証明し、中共が長年固守してきた政治的な物語(ナラティブ)を突き崩す結果となったと指摘している。
「言及する価値なし」に潜む北京の論理矛盾
中国側は、石平氏の公開発言に対し「言及する価値もない(不值一提)」と反応したが、この対応には致命的な論理矛盾が含まれていると矢板氏は指摘している。
第一に、本当に価値がない人物であれば、なぜ過去に制裁対象としたのか説明がつかない。 第二に、中国外交部と国務院台湾事務弁公室(国台辦)が、ほぼ完全に一致した文言で反応したことである。
矢板氏の長年の中国取材経験によれば、部署を超えて文言を統一する調整が行われるのは、当局がその事象を「重大事件」と認定した場合に限られるという。つまり今回の中共の反応は表向きの無視とは裏腹に、この訪問を深刻な事態として受け止めていることが露呈した結果となった。
北京側が有効な反論の論理を構築できず、単なる無視を決め込んだことは、日本国内の対中言論にも影響を与えた。いつも中国を擁護している議員や言論界の専門家もこの件に関しては沈黙を守っている。
矢板氏は中国共産党を擁護してきた人々に対し、北京が弁解の材料(論述)を提供できなかったため、彼らは代理で弁明する言葉を失い、沈黙に陥る状態に追い込まれたと述べた。
同氏は投稿の中で台湾北社社長の羅浚晅医師が、今回の事象を次のような鮮烈な比喩で以下のように表現したことを紹介している。
「アメリカが軍を出してベネズエラのマドゥロ大統領を拘束したことが習近平への強烈なパンチだったとすれば、石平氏の台湾訪問は、日本がそこにさらに追い打ちのパンチを見舞ったようなものだ」
石平氏の台湾訪問は、中国の主権が台湾に及ばないことを可視化し、北京の焦りを誘発することで、日台の連帯を強く印象づける外交的成果となったと言える。
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