中国・河北省で、「暖房代が高すぎて使えない」という声が相次いでいる。
SNSには、農村の実情を訴える投稿は拡散したが、ほどなく検閲で消えた。
背景には、中国共産党当局が進めてきた環境政策がある。
空気をきれいにするためとして、農村でも石炭暖房が禁止され、天然ガス暖房への切り替えが進められた。
しかし、設備は用意されたものの、かかる費用は住民の自己負担だ。
結果として、暖房はあっても使えない冬が生まれた。

農村の一般的な住宅で天然ガス暖房を使うと、ガス代は1日あたり日本円で約2000円前後にのぼる。
暖房を使う期間を約100日とすれば、冬の暖房費は20万円規模になる計算だ。
一方、農村部の高齢者が受け取る年金は月に約2000円程度。
この金額では、とても暖房費をまかなえない。
その結果、昼間は暖房を切る。
夜は電気毛布だけで耐える。
暖房を入れるのは、子どもが帰省した時だけ。
こうした生活が、農村では珍しくなくなっている。

中:室内に設置された温水式暖房ラジエーター。天然ガスボイラーで加熱した温水を循環させ、室内を暖める。
右:天然ガス式暖房機の燃焼部。(画面キャプチャ)
住民の不満が強いのは、都市との格差だ。
北京や天津などの都市部では、集中暖房が公共サービスとして比較的低い料金で提供されている。
一方、河北の農村では、市場価格の天然ガス代をそのまま負担させられている。
さらに、石炭を使えば処分の対象になる。
一部地域ではドローンで上空から監視され、煙が確認されると担当者が家に踏み込み、暖房設備を壊されたり、罰金を科されたりした例も報告されている。
ネット上では、こんな言葉が広がった。
「これは環境保護ではない。農民の命と引き換えに数字を整えているだけだ」
空気をきれいにする代わりに、寒さを引き受けているのは誰なのか。
河北の冬は、その現実を静かに突きつけている。

右:室内で火を囲み、暖を取る農村の住民たち。(映像よりスクリーンショット)
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