中国共産党(中共)が主導する違法な臓器収奪の実態に迫るドキュメンタリー映画『国家の臓器(State Organs)』の上映会が10日に参議院議員会館で開催された。日本新唐人が主催。会場には、国会議員や文化人らが来場した。
上映に先立ち、日本保守党の北村晴男参院議員が登壇。北村氏は「やくざでも断るようなビジネスを展開している中国という国の実相を正面から見ていただきたい」と述べ、同映画を推奨した。

北村氏はまた、中共が臓器収奪を組織的に行っているとされる点について「様々な証拠が出ている」と指摘。中共政権から証拠を覆すような有効な反論が示されていないことも踏まえ、「現時点の証拠状況からすれば、私が裁判官なら有罪だと判断する」と語った。
『国家の臓器』は、カナダ人のレイモンド・チャン監督が7年間にわたり取材を重ね、臓器収奪という中国における最大級のタブーに迫るドキュメンタリー映画である。
元軍医や海外の調査団体、主な犠牲者となっている法輪功学習者らから複数の証言を積み重ねるとともに、公的統計や独立調査の分析を交えて、党・軍・医療機関が一体化した臓器収奪産業の構造を浮かび上がらせている。
同映画はニューヨーク国際映画賞など複数の賞を受賞しており、アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門の選考対象ともなっている。
海外では、同映画の配給や上映に対する中共による妨害行為も確認している。
来場者からは強い反響が寄せられた。天安門事件で亡命した中国人元学生の組織「民主中国陣線」副主席の王戴氏は、同映画が臓器収奪の事例を赤裸々に描いている点について「本当に驚き」だと語り、「邪悪な政党がやることだ」と強く非難した。
また、王載氏は「(同映画は)皆さんに警鐘を鳴らすような役割もある」と話し、「この映画を通じて、全世界、日本および中国本土で勇気ある方々に中共の本質を知ってもらいたい」と語った。
『国家の臓器』を鑑賞するのは2回目だという在日中国人の水墨画家・宇宙大観氏は、「強い衝撃と感動を覚えた」と感想を語った。
「生きている人間、何も罪もない人間を殺して、(臓器を)取り出しているというのは人間の仕業でない、悪魔にしかできない」と憤りを示した。
続けて「悪事、大惨事だ。心から許さない」と強調し、強く糾弾すると述べた。「すべて正義がある人は(臓器収奪を糾弾する)その姿勢をとるべきだと思う」とも語った。
国際社会で高まる危機感 加担者への制裁も
中共による臓器収奪の問題をめぐっては、近年、米欧台などの議会から非難声明が相次ぎ出されているほか、臓器収奪の抑止や、意図せず関与してしまうことを防止するための法案も提出されており、国際的な危機感が一段と高まりつつある。
今年5月、米下院が「法輪功保護法案」を全会一致で可決。同法案は、法輪功学習者に対する臓器収奪に対し、アメリカとして初めて法的制裁を科す包括的な枠組みを定めており、臓器収奪に加担した個人・団体への資産凍結やアメリカへの入国禁止などの制裁措置が盛り込まれている。
また、11月にブリュッセルで開かれた「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」第5回年次サミットでは、中共による臓器収奪を非難する共同声明を採択。国際基準に基づく法的枠組みを各国で整備する必要性を改めて確認した。
日本でも、多数の国会議員や地方議員から非難の声や対応を求める意見が広がっている。自民党の石橋林太郎衆院議員も6月に開催された臓器収奪に関する国際シンポジウムで、中国での臓器収奪は「現在進行形の深刻な人権侵害であり、決して看過できない」と訴えている。
2019年には、自民党の山田宏参院議員が国会で初めて臓器収奪問題を取り上げ、政府に対し、中国へ渡航移植する際の規制強化と情報収集の徹底を強く求めた。
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