存立危機事態を巡って、日中関係が緊迫化、議論は核のあり方に広がっている。高市早苗首相は11月26日の党首討論で、非核三原則について「政策上の方針としては堅持」との見解を示した。
そうした中、自民党の石橋林太郎議員は28日の衆議院外務委員会で日本の安全保障政策の根幹である非核三原則の性格と運用の在り方について政府の見解を質し、茂木外務大臣も同様の答弁をし、明文法としての規定はないと改めて明言した。
議論は緊急時の運用判断に及び、石橋氏は過去の岡田克也外相の答弁を引用し「国民の安全が危機に直面すれば例外の判断は政権の責任であり、将来にわたり縛ることはできない」と述べた。茂木氏も、核の寄港が拒否できず安全保障が維持できない場合には「政権の命運をかけて決断し説明する」と述べ、非常時は政策より決断の領域であるとの認識を示した。
石橋氏は核不拡散条約(NPT)との関係にも言及した。NPTが禁じるのは核兵器の受領・取得・製造であり、非核三原則の「持ち込ませず」は条約上直接制限していないと指摘した。政府側も「核の所有権・管理権が移転しない限り、核兵器国の配備は条約上禁止していない」と答弁し、石橋氏の見解を追認した。
広島出身の石橋氏は、核なき世界の理想を掲げつつ、日本周辺の安全保障環境は「かつてより複雑で緊迫している」と強調した。平和維持には抑止が不可欠とし、「核兵器の有無とその世界が平和であることとは切り離して考えるべき問題だ」「力による現状変更を思いとどまらせる抑止が不可欠だ」とし政府に対しNPT体制の維持と現実的な核軍縮努力を並行して進めるよう求めた。
また石橋氏はSNS発信を巡る摩擦で中国が「日本に責任がある」とするナラティブ拡散を強めていると指摘し、「認知戦」で国民の認識を揺さぶり国内分断を生む危険性があると訴えた。
島田外務政務官が戦略的情報発信や文化外交の強化に言及したのに対し、石橋氏は「中国のナラティブに乗ってはならない」と重ねて主張。さらに、対抗措置として中国大使に対するペルソナ・ノングラータ(好ましからざる人物)指定も含む厳正対応を検討すべきだと要求した。
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