【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

マムダニNY新市長当選にトランプ氏が「主権喪失」と批判 ウォール街は競争力への懸念を表明

2025/11/06
更新: 2025/11/06

米ニューヨーク市長選挙で、民主社会主義的政策を掲げたゾーラン・マムダニ氏が勝利したことを受け、ドナルド・トランプ大統領は批判的な見解を表明し、一方のウォール街(米金融街)では同市の競争力低下への懸念が高まっている。

トランプ大統領は、民主党が複数の州で選挙に勝利した翌日、11月5日にマイアミで開催されたビジネスフォーラムで講演し、マムダニ氏のニューヨーク市長選での勝利を批判した。

トランプ氏は、1年前にアメリカ国民は「主権を取り戻した」と語った。その後、マムダニ氏を批判の対象とし「昨夜ニューヨークで少しばかり主権が失われたが、われわれはそれに対処する」と発言した。トランプ氏は、この選挙結果の原因として、政府機関の閉鎖と自身が投票用紙に名前を連ねていなかったことを挙げている。

トランプ氏は以前、示唆していたニューヨーク市への連邦予算拠出差し止めには改めて触れず、自身のホームタウンであるニューヨークの成功を望むとし、マムダニ氏に「多少は」協力するかもしれないと付け加えている。

マムダニ氏は、長年エリート層が支持してきた政治に対する「道徳的な拒否」を表明し、政府はロビー活動をする者ではなく、労働する市民に奉仕すべきだと主張し、ニューヨーク市は「開発業者、銀行家、献金者」のものではないと公言している。

マムダニ氏の政策は、公的に建設した住宅、テナントの尊厳を守る家賃保護、普遍的な育児、無料の市バスの提供、公営の食料品店の創設、そして富裕層に公正な負担をさせること(増税の公約)を含んでおり、これらは主流派の民主党候補者や既成勢力からは急進的と見なされている。
 

ウォール街に広がる警戒と期待

民主社会主義者マムダニ氏の勝利は、ウォール街に警戒感をもたらした。ロイター通信によると金融業界からは、同氏の掲げる政策がニューヨーク市のビジネスのやりやすさに関する認識に影響を与え、市の競争力が損なわれるのではないかとの懸念の声が上がっている。

バンク・オブ・アメリカのブライアン・モイニハンCEOは、ボストンでの投資家向け説明会で、「われわれはNY市の成功に深い関心を持っている。彼がチームメートから最高のアドバイスを受けられるようにすることはわれわれにとって重要だ」と述べた。

マイアミを拠点とするヘッジファンド「シタデル」のケン・グリフィンCEOは、ビジネスフォーラムで、マムダニ氏の政策が彼の主張とは異なるものであることを望むとし、「NYの人々にはもっと良いものが必要だ」と指摘した。

マムダニ氏の勝利と、それに対するトランプ氏やウォール街の反応は、ニューヨークという世界的な経済中心地における、政治的なイデオロギーと経済的競争力の緊張関係を示している。ウォール街が示す警戒感は、新市長の民主社会主義的な政策、特に企業や富裕層への増税が、金融の中心地としてのNYの魅力を損なう可能性を危惧していることである。