中国各地で、群衆(ほとんどが付近住民の集団)が畑やスーパー、イベント会場を襲い、物資を奪う事件が相次いでいる。
畑主や店員がどれほど声を上げて止めても無駄。現場に駆けつけた警察も「法不責衆(ほうふせきしゅう)――大勢でやれば罪に問えぬ」として手を出さず、秩序の崩壊をただ見つめている。さらに、犯人たちの住む村の幹部までもが「拾っただけ」と言い訳し、加害者をかばう始末だ。
こうした中国社会の「モラル崩壊」を象徴する出来事が、10月末にまたしても起きた。
四川省成都市のマラソン大会終了後、会場に残されたミネラルウォーターやバナナ、パンなどの補給物資が観衆によって次々と持ち去られた。スタッフが「持って行かないで!」と叫んでも誰も相手にせず、電動バイクで堂々と運び去る者までいた。主催者は「回収予定の参加者用物資だった」として警察に通報したが、現場では混乱のまま終息した。
(略奪現場の様子)
中国政法大学出身で国際法を専攻する頼建平氏(アメリカ在住)は、こうした略奪の連鎖を「一地方の問題ではなく、中国社会全体の病理だ」と指摘する。その根源は共産党体制そのものにあり、党が国民の財産を奪い、搾取を当然としてきた結果、庶民までもがその「悪のお手本」を模倣するようになったという。

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