トランプ氏は29日、韓国に到着し、釜山で開幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)のビジネスリーダーサミットに出席した。トランプ氏はビジネスリーダーとの昼食会で演説し、米韓の経済協力やインド太平洋地域の安全保障の重要性を強調した。
トランプ氏は午前、釜山の金海国際空港に到着し、韓国の趙顕(チョ・ヒョン)外相の出迎えを受けた。到着式ではレッドカーペットが敷かれ、軍楽隊が「YMCA」を演奏した。この曲は、トランプ氏が2024年の大統領選挙で主要なキャンペーンソングとして使用していた。
到着は予定より約90分遅れとなった。これは、直前に北朝鮮が巡航ミサイルを試験発射したと発表したことを受け、安全確認のため調整が行われたためとみられる。
韓国は今年のAPECの議長国を務めており、主要会場は慶州で設けられている。トランプ氏は会期中、習近平、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領をはじめ、各国首脳との会談に臨む予定だ。
韓国経済を称賛「世界が称えるべき成功例」
トランプ氏は同日午後の演説冒頭で、韓国を高く評価し「世界を牽引する多くの先見的な革新者や産業界のリーダーの皆さんと再びお会いできて大変光栄だ」と述べた。また、李在明氏について「極めて優秀な指導者だ」と評した。
さらに「大韓民国はアメリカが大切にしている友人であり、緊密な同盟国だ。この国は世界でも最も特別な存在の一つであり、この半島で韓国国民は経済成長の奇跡を成し遂げた。世界は皆さんの成果から大きな感銘を受けるべきだ」と述べ、韓国の成長と国民の努力を称賛した。
演説で、トランプ氏は造船分野での協力にも言及し、韓国の大手企業ハンファ・オーシャンが米フィラデルフィア造船所を買収し、50億ドル規模の投資を予定していると紹介。「同造船所は世界で最も成功する造船施設の一つになる」と述べた。
「米国は経済革命の時代にある」
トランプ氏は米経済について「今、アメリカは経済革命の段階に入っている」と述べ、次期四半期のGDP成長率は4%に近づくとの見通しを示した。
また、前日には日本を訪問し、トヨタ自動車の豊田章男会長と会談したことを明らかにした。同会長はアメリカで100億ドル規模の新工場建設を複数州で進める計画をトランプ氏に伝えたという。トランプ氏は「自動車産業はアメリカに戻ってきている」と強調した。
さらに「アメリカはAI分野で世界を大きくリードしており、その優位性は圧倒的だ」と述べた。
規制緩和と競争力を強調
トランプ氏は、企業関係者に対し、自身の政権が規制を削減していると述べた。
「私たちはアメリカを世界で最もビジネスのしやすい国にしている」とし、アメリカには競争力のある税制と低コストのエネルギーがあると強調した。
続けて「今のホワイトハウスには、規制を取り除く大統領がいる」と述べた。
また、トランプ氏は「経済安全保障は国家安全保障である。これは韓国にとっても、どの国にとっても同じだ」と語った。
トランプ氏のアジア歴訪
トランプ氏は「現在の世界貿易体制は公正さを欠き、ルールを守らない国によって利用されている」と述べ、APEC加盟国は協力してより公平で持続可能な貿易ルールを構築していくと訴えた。
APECのビジネスリーダーサミットは30年以上の歴史を持ち、首脳会議に先立って開催される恒例の国際会合である。世界の企業トップや政治指導者が集まり、今年は約1千人の代表が参加した。
今回の韓国訪問は、トランプ氏によるアジア歴訪の締めくくりとなる。大統領は今週、マレーシア、東京を相次いで訪問し、レアアースの確保や貿易不均衡の是正などをテーマに各国と複数の合意を取りまとめたほか、東京では高市早苗首相とも会談した。
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