高市早苗首相は28日朝、東京の迎賓館でアメリカのトランプ大統領と初めての対面会談を行った。両首脳は会談後、日米同盟を「黄金時代」に引き上げるとした協定の実施文書に署名し、さらに重要鉱物やレアアース（希土類）の供給確保に関する第2の協定にも合意した。

高市首相　トランプ大統領をノーベル平和賞に推薦する意向を表明　

高市氏は会談の中で、トランプ大統領をノーベル平和賞に推薦する意向を直接伝えた。ホワイトハウスは「高市首相はトランプ大統領に対し、推薦を行うと伝えた」と明らかにした。ここ数か月の間に、すでに複数の国家指導者がトランプ氏の推薦に賛同する意向を示しており、カンボジアのフン・マネ首相も、今回のアジア歴訪中に推薦を表明している。

トランプ氏は今年のノーベル平和賞を受賞しなかったが、「ノーベル賞委員会は、私がイスラエルとハマスの停戦を実現する前に決定を下した」と述べ、今後の評価に期待感を示した。

拉致被害者家族と面会　「アメリカは皆さんと共にある」

午前11時45分、高市氏とトランプ氏は迎賓館赤坂離宮で、北朝鮮による拉致被害者の家族と面会した。トランプ大統領は冒頭、「在座の皆さんの中には、私が以前お会いした方々もいる。アメリカは皆さん、そして日本と共にある」と述べ、改めて被害者家族への支援を表明した。

これに先立ち、午前11時25分にはルビオ国務長官も家族と面会している。

日米首脳がワーキングランチ　経済・安全保障など幅広い議題を協議

午前11時からは、両首脳によるワーキングランチが行われ、食事をとりながら経済、安全保障、技術協力、サプライチェーンの強化など多岐にわたる課題について意見交換が行われた。

2つの合意文書に署名　日米戦略関係を強化

会談後、両首脳は日米同盟の新たな段階を明記した協定の実施文書に署名した。文書は1ページにも満たない簡潔な内容ながら、「日米の戦略的連携を歴史的に強化する」ことが明記されている。

続いて、重要鉱物やレアアースの供給網を構築するための枠組み協定にも調印。中国依存を脱却し、経済安全保障を強化する狙いがある。

トランプ氏　「最も強いレベルの同盟国」

「非常に日本という国を尊重している。私たちの関係が今まで以上に強力なものになっていくと思う。協力できることを楽しみにしている」と述べ、「日本を支援するためにできることがあれば、いつでもそこにいる。私たちは最も強いレベルの同盟国だ」としている。

また、高市首相を称賛し、「安倍元総理大臣などから聞いていたが、あなたはすばらしい首相の1人となるだろう。女性初の総理大臣となったことを祝福したい。これはすごいことだ。あなたはすばらしい仕事をするだろうし、われわれはすばらしい関係を構築すると思う」と関係強化への期待を示した。

日本から防備品の注文を受けた

トランプ氏は日本の防衛力強化に言及し、「あなたが日本の防衛力を大幅に強化しようとしていると聞いている。アメリカは多くの装備品の注文を受けた。アメリカが製造する戦闘機やミサイルなどの装備品は世界で最も優れている。それらを使わずにすむことを望んでいるけど、アメリカからの調達や両国の貿易に感謝している」と語った。

トランプ氏　首相着任に祝意

トランプ氏は高市首相の着任に対して祝意を表した。「晋三氏は私にとって非常に素晴らしい友人だった。彼が亡くなったことはショックであり、悲しいことだ。あなたのすばらしさを彼から聞いていた。彼はあなたが総理大臣になったことを誇りに思うだろう。アメリカを代表してお祝い申し上げる」と述べた。

米国建国250周年に向けた桜の寄贈

アメリカ建国250周年に関連して、高市氏は「ワシントンDCに250本の桜を寄付する予定。また来年7月4日ワシントンDCで日本の秋田県の花火が打ち上げられると聞いている。日本とアメリカをより強く豊かにするために、日米同盟の新たな黄金時代をトランプ大統領と共に作りたい」と述べ、日米関係強化への意欲を示し、「トランプ大統領と共に日米同盟の新たな黄金時代を築きたい」と語った。

安倍元首相への言及　「日米同盟の新たな黄金時代」

高市氏は、故・安倍晋三元首相への長年の友情とトランプ氏による昭恵夫人のご招待に感謝を述べたうえで、「安倍総理からよくトランプ大統領のダイナミックな外交について話を聞いた」と話した。

また、トランプ氏がタイとカンボジアの停戦や中東の歴史的な和平合意など、短期間で世界の平和に大きく貢献したとし、トランプ氏の外交手腕を高く評価して、「今や日米は世界で最も偉大な同盟になった」と強調し、日本も共に世界の平和と繁栄に貢献していく」と表明した。

「日本の国益を守りぬくために強い日本外交を取り戻す決意だ。自由で開かれた太平洋の進展に向けても日米でさらに協力を進めていきたいと考えている。私はこれから日本の国力、つまり外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力、人材力を強くするリーダーとして働いていきたい」という決意を示した。

「野球観戦で開始が遅れた」ユーモア交え歓迎

会談冒頭、高市首相は「開始が遅れ失礼しました。先ほどまで大統領とお部屋で野球を観戦していました」と笑顔で語り、会場を和ませた。続けて、自民党総裁選直後に祝意を示したトランプ氏に謝意を表し「自民党総裁選挙に勝った直後にお祝いの発信をいただき、ありがとうございました。直接お会いできることを楽しみにしていた」と歓迎の意を伝えた。