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中国 「安定と団結」を唱える政権の裏で 社会の底に渦巻く怒りと絶望

小学校前の惨劇と信訪局前の悲劇 中共が吹聴する「安定」の裏側

2025/10/27
更新: 2025/10/27

中国共産党政権が「安定と団結」を掲げた四中全会のさなか、中国各地で相次ぎ異常事態が発生している。表の笑顔とは裏腹に、街には不安と怒りが満ちている。

小学校前の暴走車

22日、湖北省十堰(じゅうえん)市の小学校前の交差点で、信号待ちをしていた放課後の児童と保護者の集団に白い車が突っ込み、次々とはね飛ばした。

SNSに投稿された映像には、大勢の子どもと親たちが地面に倒れ、動かなくなっている様子が映っていた。泣き叫ぶ声が響き、現場は惨状を極めた。

 

小学生らが倒れ込んだ現場の様子、2025年10月22日、湖北省十堰市(映像よりスクリーンショット)

 

公式発表では死傷者数が伏せられたままだが、現場の映像や複数の証言によると、少なくとも27人が車にはねられ、そのうち7人が即死したという。運転手の男は逃げずに道路脇で煙草をふかし、無表情のまま立ち尽くしていたといい、その異様な落ち着きに現場は凍りついた。

現地では、男が詐欺被害で生活に追い詰められ、社会への報復として犯行に及んだのではないかとの噂がもっぱら広がっているが、当局は関連投稿を次々と削除し、報道を封鎖した。

3日後、「交通事故で1人死亡、4人重傷。運転していた陳(48歳男)を逮捕」と発表したが、児童が犠牲になったことや現場が小学校前である事実については一切触れなかった。

 



中国・四中全会のさなか 小学校前の交差点に「暴走車」 20人死傷か【動画あり】

中国・四中全会のさなか、またも「社会報復」か。湖北で暴走車が小学生ら20人をはね、街は恐怖と怒りに包まれた。情報封鎖が進む一方で、絶望と邪気がいま中国を覆っている。

 

信訪局前に集う絶望

同じころ北京では、重要会議のたびに恒例となっているように、全国から陳情者が押し寄せた。国家信訪局(国民の苦情や訴えを受け付ける中央機関)の前には長蛇の列ができ、整理番号を得るために歩道で夜を明かす姿が続出した。

 

四中全会の期間中、国家信訪局前に並ぶ陳情者の長蛇の列、北京市。(SNSより)

 

しかしその列の背後では、警察や私服要員による暴力的な排除が行われていた。SNSには、北京市西部の永定河に身を投げる陳情者や、国家信訪局の前で焼身や首つりによって命を絶つ人々の映像が投稿され、現場の混乱が伝えられた。

国家信訪局の近くを流れる永定河では、今年だけでもすでに少なくとも十数人の陳情者が命を絶っており、四中全会の期間中にも同じ悲劇が繰り返された。その映像は海外にも流出し、当局の「安定」演出の裏にある社会の絶望感を浮き彫りにした。

 

四中全会の期間中、国家信訪局前の川に身を投げた陳情者、北京市。(映像よりスクリーンショット)

 

国家信訪局の周囲には、各地から上京した人々を地元へ強制送還するための「連行用バス」がずらりと並び、戻された先の「黒監獄」(地方政府が運営する非公式の拘禁施設)で死亡するケースも相次いでいる。

「安定」と「団結」を唱える政権の言葉とは裏腹に、社会の底には希望を失った人々の絶望が渦巻いている。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!