中国経済の停滞が、ついに上海地下鉄にも及んだ。運営会社「上海申通地鉄」は経営悪化を理由にリストラを開始し、対象は40〜50代の中年職員が中心である。
補償金は勤続年数によって異なり、30年の駅長で43万元(約890万円)、25年の運転士で31万元(約640万円)、20年の整備士で23.5万元(約490万円)。一見まとまった額だが、物価の高い上海では3年も生活できない水準である。再就職の道も狭く、失職後は社会保険も自ら負担しなければならない。
中国メディアによると、2024年時点で全国少なくとも26都市の地下鉄が政府補助を受けても赤字を計上している。北京ですら維持が難しく、大半が補助金頼みの状態だ。比較的安定だとみられた上海まで人員削減に踏み切ったことで、危機の深刻さが改めて浮き彫りとなった。
同時に、市内の消費低迷も顕著だ。通勤客はコロナ前より3割減り、週末の商業施設では人影がまばらだ。にぎわうのは安価な軽食店だけで、レストラン街は閑散としている。かつて「都市の血脈」と呼ばれた地下鉄は、いまや財政を圧迫する重荷へと変わりつつある。

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