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中国のドローンメーカーDJIが規制リスト追加に不服も 米地裁が訴え棄却

2025/10/01
更新: 2025/10/01

中国のドローンメーカーDJIが、米国防総省による「中国軍工企業」リストに追加されたことを不服として起こした訴訟で、米連邦地裁は先月26日、同社の訴えを棄却した。これによりDJIはブラックリストに残り、今後さらに厳しいリスクに直面することとなる。

ワシントンD.C.連邦地裁のポール・フリードマン判事は、国防総省の認定には十分な根拠があると判断した。判決文では「同社は中国共産党の国防工業システムに関与している」と明記されている。

国防総省は2022年、中共の「軍民融合」戦略に対抗する一環として、DJIを含む複数の企業を中共軍関係企業リストに追加した。このリストに掲載された企業は、米国内における証券取引を禁止される。

DJIは2023年10月に提訴し、「当社は中共軍に所有も支配もされていない」と主張したが、裁判所に認められなかった。同社は財務的損害を訴えていたものの、判決はこれを退けた。

軍事系チャンネル「馬克時空」のマーク氏は「判決は当然だ。最大の問題はDJIが軍事関連企業である点である。ドローンはロシア・ウクライナ戦争を含む多くの戦場で使用されており、軍需企業と見なされるのは必然だ」とコメントした。

DJIは判決後、「失望している」との声明を発表し、法的対応を検討するとした。しかし、今回の敗訴により米国での事業環境は一層厳しくなる見込みである。米国の「2025会計年度国防権限法」には「対中国無人機法」が盛り込まれており、DJIは1年以内に「国家安全保障上の脅威ではない」と証明する必要がある。履行できなければ、連邦通信委員会(FCC)の規制リストに掲載され、製品販売が禁止される可能性が高い。

過去にも中国通信機器大手ファーウェイ(華為)が「クリーンネットワーク」政策の下で排除され、各国に波及した事例がある。専門家はDJIも同様の道を辿る可能性が高いと指摘する。マーク氏は「米国が制裁すれば欧州や他の西側諸国も追随し、DJIの海外展開に深刻な打撃を与える」と警告している。

DJIはすでに2020年に米商務省のエンティティリスト、2021年に米財務省の「中国軍産複合体企業」リストに追加された。さらに2022年には新疆ウイグル自治区での監視関与を理由に、米税関当局が一部製品を押収している。今回の判決は、同社を取り巻く国際的な圧力を一層強めるものとなった。