林芳正官房長官は10日の記者会見で、日本政府がロシア国内で日本語教育やビジネス人材育成などを行ってきた「日本センター」の閉鎖を発表した。
林官房長官は、閉鎖を決めた理由について「ロシア国内や日ロ関係を取り巻く状況が変化していることを踏まえ、総合的に判断した」と説明し、すでにロシア側に外交ルートを通じて通知したと表明した。
日本センターは1996年、日ロの交流や相互理解の促進が目的で設立され、モスクワ、サンクトペテルブルク、ウラジオストクなどロシア国内6か所に拠点を構えていた。これまで日本語講座のほか、経済セミナーや文化交流イベントなどを実施し、現地の日本語学習者や企業関係者に広く利用されてきた。
しかし近年、日ロ関係の悪化やロシア当局による規制強化により活動が制約されていた。
今年1月には極東サハリン州ユジノサハリンスクの日本センターが、許可を得ずに日本語講座を行ったとして「違法な教育活動」と認定し、センター長に罰金を科した。林官房長官は当時「1996年の開設以来問題はなかった。理解に苦しみ極めて残念だ」と述べていた。
さらにロシア内務省は7月30日と8月26日、ウラジオストクの日本センターに立ち入り検査を実施。林官房長官は「職員の身体の安全確保をロシア側に求め、状況の適切な管理に努めている」と語っていた。
今回の閉鎖により、約30年続いた日本センターの活動は幕を下ろすことになる。
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