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中国で増える反共産党活動と「九評」の影響

2025/09/01
更新: 2025/09/01

中国で反共産党の抗議活動が相次ぎ、その背景には社会的な覚醒や『共産党についての九つの論評(九評)』による啓発の広がりがある。重慶での投影事件や袁紅冰氏のコメントを通じて、現代中国社会の変化と市民意識の高まりに迫る。

中国の重慶大学城で最近、大規模な反共産党スローガンの投影が行われ、「赤いファシズムを終わらせ、共産党の暴政を打倒しよう」などの標語が表示された。市民によるこうした反共産党活動は近年増加しており、今回の事例もその一つとなった。オーストラリア在住の学者・袁紅冰氏は、「中国社会では政治的な意識の高まりが見受けられ、中共の崩壊は不可避な流れになりつつある」とコメントしている。

「共産党についての九つの論評」は20年以上にわたり拡散されており、中国国民が中国共産党(中共)の本質を認識し、社会的な覚醒を促す重要な役割を果たしてきたという。

重慶投影事件が反響 専門家「中国社会は政治的意識を高めている」

8月29日夜、重慶市大学城の中心商業区で、代表的な商業・繁華街の高層ビルの外壁に、「赤いファシズムを打破し共産党の暴政を覆そう」「共産党なき新しい中国へ 自由は自ら掴み取るもの」「立ち上がれ 奴隷となることを望まない人々は権利を回復しよう」「嘘よりも真実、奴隷よりも自由を 暴政の共産党は退陣せよ」などのメッセージが約50分間投影された。投影源を特定するため警察が動員され、行動の発起人が残した手紙の確認も行われたという。発起人の戚洪氏は現在、家族とともにイギリスに滞在中とされる。

この行動は中国が9月3日軍事パレードを控える時期に発生したことから、インターネット上で急速に拡散し、海外ユーザーからも支持の声が寄せられた。

民主活動家・王丹氏はSNSで「中共は橋を防ぐことはできても、屋根やトイレまで防ぐことはできない。重慶の投影事件は、中共の過剰防衛の難しさを示した。投影一つで政権が直ちに変わるわけではないが、人々の想像力を刺激した」と述べている。

また、インド太平洋戦略シンクタンク代表で産経新聞の元台北支局長の矢板明夫氏は「最近、中国国内で経済不況が続き、政府による言論抑制が強まっている。市民の不満は増加しており、今回のスローガンは官民の対立激化を反映している」と分析した。

今回の事件は、各地で多発する反共産党の抗議行動の一例だ。中共の政権基盤は揺らぎ、中国経済の低迷とともに市民の抗議活動が頻発している。2022年には北京の「四通橋事件」や若者による「白紙運動」が話題となった。四通橋事件を模倣する抗議も相次いでいる。

袁紅冰氏「中国社会は危機と矛盾を内包、歴史的事件が導火線となる可能性」

オーストラリア在住の学者・袁紅冰氏は、「習近平政権下で中国社会全体が閉塞感に包まれている。特に若者は卒業後にすぐ失業し、退役軍人や農民工も職を失った上に農地も失い、生計の維持が難しい。こうした現状は大きな社会的課題」と指摘する。

同氏は最近の市民による政治的抗議が社会全体の覚醒につながっているとし、「中国の若者は無気力状態から徐々に政治的意識を高めており、共産党の暴政に立ち向かうことで生活の正常化を求めている」と述べた。

さらに、危機と矛盾の蓄積は、ソ連や東欧の共産政権崩壊前にみられた広範な市民蜂起の条件を成熟させており、「国民的反抗を誘発する歴史的事件が今、必要とされている」とする。その「導火線」については「国内や中共内部で発生する可能性もあり、あるいは台湾海峡での戦争が契機となるかもしれない」と見解を示した。

「共産党の暴政崩壊は不可避であり、習近平が抵抗しても歴史の流れは変わらない」とも語った。

反共産党活動家の認識深まる 「九評」の啓発効果も大

重慶投影事件発起人の戚洪氏が残した公開書簡には、警察に向け「共産党はこの土地で数多くの罪を重ねてきた。どうか悪事に加担しないでほしい」と記されている。自身もほかの多くの中国人同様、過去に迫害を受けた経験があるとした。

また、2020年3月30日、山東省のプログラマー・張文斌氏はSNSで「習近平退陣」「共産党退陣」という題名の動画を投稿したところアカウントが凍結され、行方も分からなくなった。張氏は動画で「かつては共産党支持者だったが、ネットを通じてその本質を認識するようになった」と語り、土地改革、文化大革命、飢饉、計画出産、「六四」事件、法輪功やチベット・香港・新疆弾圧、海外への影響拡大などに触れ、「多くが傍観し称賛もしているが、自分はそれに耐えられなくなった。香港や台湾の人々の勇気ある抵抗に感化され、声を上げる決意をした」と訴えた。

袁紅冰氏は、「こうした反中共的な市民による意識の変化は、法輪功による反迫害運動や大紀元の『共産党についての九つの論評』の影響が大きい」と指摘した。

2004年11月、大紀元が発表した『共産党についての九つの論評』は、中共の本質を分かりやすく伝え、広範な社会的覚醒に寄与したという。

現在もなお「九評」の意義は失われておらず、真実の発信と政権下での精神的・現実的苦しみの訴えを通じて、影響力が強まっていると見られる。

袁氏は「この20年間、『九評』に触発された法輪功学習者の脱党運動も大きな広がりを見せている」と述べている。

寧海鐘
中国語大紀元の記者。
駱亞