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戦争責任と慰霊の意味 宇宙大観氏が語る日中の歴史認識の差

2025/08/15
更新: 2025/08/15

靖国神社は、たびたび中国共産党から「軍国主義の象徴」と非難され、日中関係の火種となっている。しかし、日本側では参拝を亡魂への敬意と平和への祈りと捉え、対立の背景には歴史認識や政治的意図が複雑に絡む。宇宙大観氏は、日本の元衆議院議員・衛藤征士郎氏と長年交流があり、衛藤氏が以前から毎年のように議員仲間と靖国神社を参拝してきたことを紹介。

靖国参拝 人情と国家の責任

宇宙大観氏によると、衛藤氏は、靖国参拝について「自国民の亡魂への追悼であり、人としての自然な感情。日中交流と矛盾しない」と考え、「参拝が中国人民の感情を傷つけ、戦争を誘発するとの主張は根拠がない」これを戦争挑発と結びつける見方を否定しているという。

日本では戦没者や退役軍人への敬意を「恩給」制度によって具体化してきた。宇宙氏によれば、「戦争の決定が誤っていたとしても、政府の呼びかけに応じて戦地に赴いた国民には恩給を支給し、その家族にも長期にわたって保障を行ってきた」という。この制度は、人道的で真剣な国家姿勢を示すものだと認識している。

宇宙大観氏は、水墨画の教室で恩給を受け続ける退役軍人の家族に出会った経験から、「日本は戦争責任を認めつつ、個々の犠牲を尊重している」と評価する。

一方、中国では抗日戦争の主力だった国民党の兵士が、戦後「反革命」として迫害された。中共は自らを「抗日の英雄」と宣伝するが、歴史的事実として日本と主に戦ったのは国民党軍だった。戦後の政治運動で、国民党軍兵士として日本と戦った100万~200万人が弾圧され、補償や名誉回復を受けられず、罪人のように扱われた。「共産党には本当の民族的英雄がいない。マルクス・レーニン主義の英雄だけを称える」と宇宙大観氏は批判する。

日本の戦争反省と民主的寛容

日本は戦後、戦争責任を真剣に反省してきた。埼玉県の美術館には南京大虐殺を描いた巨大な壁画が展示され、横浜の「戦争加害展」では日本が加害者だったことを認めている。作家・森村誠一の『悪魔の飽食』は731部隊の非人道性を暴き、反戦のメッセージを伝える。宇宙大観氏は、これらの展示や作品を直接見て、「日本人の戦争反省は真摯だ」と感じたという。

日本の民主主義は、南京大虐殺の規模や詳細をめぐる議論を封殺せず、自由な言論を許容している。この寛容さが、逆に中国共産党に日本の戦争責任を批判する材料を提供していると宇宙氏は語る。

中共は海外で日本の戦争犯罪資料を展示し、プロパガンダを展開するが、抗日戦争の主力が国民党だった事実を無視。「共産党は漁夫の利を得た強盗に過ぎない」と宇宙大観氏は指摘し、戦争反省の対象が歪められていると訴える。

真実の共有と未来への道

靖国参拝をめぐる対立は、歴史の真実を共有しなければ解決しない。宇宙大観氏は、抗日戦争の主力は誰だったのか、戦争責任を誰に求めるべきなのか、こうした問いに答えることで、正しい反省の対象が見つかり、日中間の新たな関係が築けると指摘。

中共の政治的圧力や歴史歪曲は、理性的な議論を妨げ、恐怖と抑圧で真実を覆う。しかし、靖国参拝から見える人間的感情や、戦争反省の努力から見える民主的寛容は、現代文明の価値を体現する。宇宙大観氏は、「歴史を正しく理解し、相互尊重に基づく対話が、平和な未来への鍵だ」と強調する。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。