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激変する中国 退役軍人の待遇格差が露呈

白糖ひと袋の「慰問品」 建軍記念日に老兵の不満噴出【動画あり】

2025/08/13
更新: 2025/08/13

中国軍創設を記念する「八一節(建軍記念日)」の慰問行事で、一部の退役軍人に配られたのは白砂糖ひと袋――。長年国に尽くした老兵たちの口から漏れたのは、感謝の言葉ではなく、失望と憤りだった。待遇の地域格差や制度の欠陥が、改めて浮き彫りとなっている。

中国各地で8月1日、八一節に合わせた退役軍人への慰問行事が行われた。だが、一部の老兵からは「もらったのは白砂糖1袋だけ」という、あまりにみすぼらしい慰問品への不満が相次ぎ、SNS上で共感と議論を呼んだ。地方財政の苦境が背景にあり、学者らは「制度的欠陥が露呈した」と指摘する。

同国SNSには「慰問品を受け取りに行くための交通費と昼食代を合わせて約200円も赤字になった」「もらったのは数百円のインスタントラーメンだった」といった嘆きの声が並ぶ。コメント欄には、「贈り物は小さくても心がこもっていれば十分」となだめる声から、「私たちは何ももらっていない」と待遇格差を訴える声まで、多様な反応が寄せられた。

 

朝鮮戦争に中国軍として参戦した老兵が暮らすのは、崩れかけた土造りの家。そのわずか50メートル先には豪華で清潔な公共トイレがある。ネット上では「これが最高の徴兵広告だ」と皮肉る声も。2025年7月30日、安徽省。

 

本紙の独自取材によれば、1979年の中越国境戦争に参加した山東省の張さん(退役軍人)は「これまで一度も正式な慰問を受けたことがなく、今年届いたのは『退役軍人事務部からの誠意ある挨拶』という一通のショートメッセージだけだった」と語った。

同じく中越戦争経験者の郭さん(青島市)は、「裕福な地域では米や油、現金が出るが、貧しい地域ではショートメッセージだけ」と老兵の厳しい現実を指摘。今年は民政部門から米と食用油を受け取るよう求められたが、「宣伝用に写真を撮られるだけだ」と断ったという。さらに「広西省の戦友の今年の慰問品が茶碗1つだった。政府は外国援助に巨額を投じるのに、血を流した我々は今や片隅に追いやられている」と憤った。

中国の退役軍人は、就業や住宅、年金加入、職業訓練などの優遇策が打ち出されてはいるものの、実際には履行されず、各地で抗議や集団陳情が繰り返されてきた。例えば2017年、山東省聊城では数百人規模の老兵が市政府に相次ぎ陳情し、口頭で解決を約束されたものの、結局は守られなかった。

こうして退役軍人の不満と不信を長年積み重ねてきた歴史は、今なお続いている。

 

市政府前で陳情する数百人規模の老兵たち。2017年6月、山東省聊城。(スクリーンショット)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!