中国の大学院で、修士課程の学制が2年から3年に延長される動きが各地で相次いでいる。かつては2〜2.5年が主流だった専門職学位も、今では学術型と同じ3年制へと「延命措置」が進行している。
背景には、深刻な若年層の就職難がある。当局は表向き「教育の質向上」と説明するが、ネット上では「学生に余計な学費を払わせ、大学教員の雇用も維持できる」「就職の先送りが狙いだ」などと批判が殺到している。
事実、2024年の研究生入学者は135.7万人で、7年前から約70%増。高学歴化が進む一方で、卒業後に路上で露店を開く者や、デリバリーで生計を立てる修士卒も珍しくない。

先月(2025年7月)も、四川省から遼寧省へ職探しに来た若者が、2日間何も食べられず街頭で餓倒する「事件」が起きている。通行人の善意によってなんとか命は救われたものの、職も住まいもない現実は変わらず、再び路上に戻るしかなかったという。
(2025年7月、瀋陽の街頭で「餓倒」した四川省出身の若者)
このような「餓倒」のケースは、しばしば中国SNSで目にする。「どこそこでまた失業者が倒れた」といった情報が後を絶たない。
こうした若者たちは皆、「とにかく働きたい」という一心で都市に出るが、雇用の場はなく、かといって学び直しても報われない。高等教育の延長は、彼らの「失業統計」へのカウントを1年遅らせるだけであり、根本的な解決にはなっていない。


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