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激変する中国 就職するにはまずは「体力勝負」?

工場面接でいきなり「腕立て30回」 就職難のリアル =中国【動画あり】

2025/08/02
更新: 2025/08/02

中国では経済の悪化に伴い、就職活動の競争が激化している。SNSには身体能力を問う面接の様子が次々と投稿され、「仕事探しがもはやスポーツ大会」「こんなに競争が激しいなんて」といった驚きの声が上がっている。

浙江省海塩市のある装備組立会社では、面接の第一関門として「腕立て伏せ30回」や「ジャンプ」「スクワット」といった体力測定を課しており、その様子が動画で拡散された。求人には「月給1万元(約20万円)」「14時間労働」と記されており、過酷な条件にもかかわらず、多くの求職者が列をなしたという。

 

「体力勝負」となった中国企業の面接現場。求職者が腕立て伏せなどの体力テストに挑んでいる様子(SNS動画より)

 

こうした身体能力を求める選考方法は、もともとコンテナ製造大手など一部の力仕事に限られていたが、最近では一般的な工場にも広がりつつある。中には、面接時に「腕立て30回を余裕でこなせる体力」が前提条件とされる現場も存在する。

 

(「体力勝負」となった中国企業の面接現場)

 

現在、中国経済は深刻な後退局面にあり、各地で企業の閉鎖、工場の操業停止、リストラや減給といった報道が相次いでいる。就職活動が激化する背景には、中国全体を覆う深刻な失業問題がある。若年層の失業率は公式には21.3%とされているが、専門家の中には「実際には50%に迫る」と指摘する声もある。

 

(「体力勝負」となった中国企業の面接現場)

 

さらに、家庭を支える中年層には「35歳の壁」と呼ばれる年齢制限が立ちはだかる。これは中国企業に根強く残る年齢差別の一種で、「35歳を超えると転職や再就職が極端に難しくなる」とされている。企業側は「若い方が使いやすい」「年配者はコストがかかる」として敬遠する傾向があり、多くの中年層が一度職を失うと、復職の道が閉ざされる現実に直面している。

こうした就職環境の変化は、求職者の体力そのものではなく、むしろ深刻化する経済状況や雇用の不安定さを浮き彫りにしているといえる。

SNSに書き込まれたあるコメントが印象的だ──「働く場すら筋力テストが必要な国では、本当の問題は筋肉ではなく、崩壊しつつある経済の方だろう」。経済の実態を突いたこの一言は、多くの共感を集めている。
 

(「体力勝負」となった中国企業の面接現場)

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!