最近、複数の中国のアナリストが、米国の関税圧力の下で、カナダは中共との経済・貿易協力を強化すべきだと提案している。しかし、元カナダ外交官のマイケル・コブリグ氏は、「カナダと中国の関係」の緊張の根本的な原因は経済ではなく、両国の価値観や制度における深い隔たりにあると警告している。
コブリグ氏は最近、モンテーニュ研究所が発行する「中国トレンド」誌に寄稿し、一部の中国のアナリストや官僚が「米国の圧力が強まるなか、カナダは中共とより緊密に協力すべきだ」と主張していると指摘した。しかしコブリグ氏は、そのような路線を取れば、カナダは中共への経済的依存に陥り、短期的な利益のために長期的な自立性や批判能力を犠牲にすることとなると述べ、これは「悪魔との取引」と同じだと警告した。
ベテラン時事評論家の盛雪氏は、「中共とカナダの間には価値観の根本的な対立がある。中共は組織的にカナダへ自らの専制的なイデオロギーを輸出しており、カナダの民主制度と主権に対して根本的な脅威となっている。カナダは、同じ過ちを繰り返してはならない」と語っている。
「孟晩舟事件」以降、カナダと中国の関係は日に日に緊張を深めている。中共はカナダへの浸透や連邦選挙への干渉、さらに越境弾圧などの行為を強化しており、これらはカナダ社会や政界で繰り返し強い反発を引き起こしている。
2024年には、カナダ政府が中国のEVや鉄鋼などの過剰生産によるダンピング行為に対応し、中国製EVに高関税を課した。これに対して中共は、カナダ産海産物に対する輸入関税を引き上げて報復した。さらに16日、カナダは新たな政策を発表し、中国の低価格鉄鋼製品への関税を追加するとともに、免税枠を削減して、国内産業とサプライチェーンの安全を守る方針を示した。
最近、カナダと中共の高官による対話が再開されたものの、コブリグ氏は「中共が民主制度や価値観に対して真の敬意を示さない限り、両国関係は限定的な調整にとどまり、実質的な関係修復は難しい」との見方を示している。
また、盛雪氏は「現在、ほとんどの自由民主主義国家は『脱・共産党化』の流れにある。そのため、中共との協力は明らかにカナダの国益には合致しない」と語った。
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