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トランプ米大統領 ロシアへの停戦圧力強化 制裁発動の前倒しを表明

2025/07/29
更新: 2025/07/29

米国のトランプ大統領は28日、ロシアによるウクライナ侵攻を巡り、停戦合意に応じなければ科すとしていたロシアに対する追加経済制裁の発動時期を大幅に前倒しすると公に表明した。これは、同日スコットランドを訪問中にイギリスのスターマー首相と会談後、記者団の質問に答えた際に明らかにされた内容である。

当初、トランプ大統領は7月14日に「50日以内」、すなわち9月上旬をめどにロシアがウクライナとの停戦に合意しなければ、ロシアと取引する第三国に対して100%の「二次関税」を課すなどの厳しい追加制裁を科すと発表していた。しかし、ウクライナ各地でのロシアによる激しい攻撃が続き、停戦交渉が一向に進展しない状況を受けて、期限を「本日から10~12日以内」、つまり8月上旬に大幅に短縮する方針に変更したことになる。

トランプ大統領は、「プーチン大統領に非常に失望している」と述べた上で、「何度も停戦交渉がまとまりそうだと思ったが、ロシア軍は依然としてウクライナの都市に攻撃を続けている。これでは待っていても仕方がない」と語り、制裁発動の前倒し理由を説明した。

今回発表された追加制裁の対象には、ロシアから大量の原油などを輸入している中国やインドなどの国も含まれる見通しであり、米国の対ロシア圧力がさらに増すことが予想される。

トランプ大統領は記者団に対し、7月29日までに正確な期限と条件を正式に発表するだろうと述べ、発表内容には制裁や二次関税が含まれる可能性があると語った。

ウクライナとロシアの反応

ウクライナでは、トランプ大統領が和平合意の期限を短縮したことが賞賛された。「人命救助とこの恐ろしい戦争の終結に尽力されたトランプ大統領に感謝します」「ウクライナは平和へのコミットメントを堅持し、両国をより安全で、より強く、より繁栄させるために、米国と精力的に協力していきます」と、ウクライナのゼレンスキー大統領は7月28日の声明で述べた。

クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は7月28日、トランプ大統領とプーチン大統領の最終的な会談実現に向け、専門家レベルの協議を引き続き促した。ロシア国営タス通信が報じた記者会見で、ペスコフ報道官は、トルコのエルドアン大統領の支持を含め、トルコでの両首脳会談実現に向けた初期段階の取り組みを認めたものの、「具体的な準備は何も行われていない」と述べた。

またペスコフ氏は、トランプ氏とプーチン大統領が中国で会談するという別の提案についても、進展がなかったことを明かした。プーチン大統領は9月初旬に北京を訪問する予定であるとも述べた。

「もし米大統領が同じ時期に中国を訪れることになれば、理論的には両首脳が同じ都市にいる限り、そのような会談が行われる可能性はある」とペスコフ報道官は語った。

米国と欧州はパトリオットミサイル配備を準備

ロシアは、7月18日に欧州連合(EU)がロシアのエネルギー産業とシャドーフリート(制裁逃れ船団)を標的とした制裁を承認したことで、すでにさらなる圧力に直面している。

欧州はまた、トランプ氏が提案したウクライナへのパトリオット防空システム供与を支持することで合意し、同盟国が費用を負担する形で、ウクライナへの武器供給拡大に向けて結束している。

先週、イギリスのジョン・ヒーリー国防相は、プーチン大統領に交渉の席につかせるため、50日間にわたってウクライナ支援を強化するよう同盟国に呼びかけ、ウクライナの立場をさらに強化しようとしている。

7月23日には、今年3回目となるロシアとウクライナの代表団による会談がイスタンブールで行われ、捕虜交換について協議がなされた。しかし40分間の会談では、和平合意やゼレンスキー大統領とプーチン大統領による首脳会談の実現などに進展は見られなかった。

ロシア・ウクライナ戦争の平和的解決の模索は、7月28日に予定されている米国大統領とスターマー英首相との会談でも主要議題となる見通しである。首相官邸が7月27日に発表した声明によれば、両首脳は「この残虐な戦争の終結を求める共通の願い」について協議する予定だ。

また、イギリス首相官邸は、トランプ氏とスターマー首相が英米間の貿易協定の実現やガザ地区での停戦についても話し合うと伝えている。なお、トランプ氏の今回の私的訪英は、9月に予定されている二度目の公式国賓訪問に先立つものである。

軍事と外交問題を専門とするエポックタイムズの記者
英国を拠点に、国内の幅広いニュースを報道する
大紀元エポックタイムズジャパンの速報記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。