7月25日から27日まで東京都内で開催された東京国際合唱コンクールにおいて、中国共産党(中共)側が主催者に対し、台湾の合唱団を「台湾」ではなく「チャイニーズタイペイ」の名義で参加させるよう要求していた。これに対し、台北駐日経済文化代表処(大使館に相当)は、中共が政治的介入により音楽を汚し、台湾国民の感情を傷つけたとして、「厳正な非難」を表明した。
台北駐日経済文化代表処によると、7月26日夕方にこの情報を入手後、直ちに合唱団および同行の邱議瑩・立法委員(国会議員)と共に主催者と交渉を行った。また、日華議員懇談会の古屋圭司会長も即座に台湾を支持する声を上げた。しかし、主催者は最終的に台湾の合唱団の名義を一方的に「チャイニーズタイペイ」に変更し、さらには全ての参加国の国旗掲揚を取りやめる決定を下した。
代表処は声明で、「音楽は国境を越え、世界中の人々が楽しめる芸術であり、過去6年間、台湾の合唱団は『台湾』の名義で本コンクールに参加してきた。今回、中国(中共)は悪意ある政治的手段を用いて活動を干渉し、音楽を汚染し、台湾国民の感情を傷つけた」と非難。さらに、主催者が中国の要求に一部屈し、台湾の名称を一方的に変更したことに対し、「深い遺憾の意」を表明し、厳正な抗議を申し入れた。
7月27日、台北駐日経済文化代表処の周学佑・副代表および職員16名は会場に赴き、台湾の合唱団を応援するとともに、中国側がさらなる妨害行為を行わないよう支援を行った。
李逸洋・駐日代表は、「台湾と日本の国民の相互好感度は88%に達している一方、日本人の約90%が中国に悪い印象を持っている。2025年版の日本の「防衛白書」では、中共の軍事拡張と侵犯が日本にとって最大の戦略的挑戦とされている」と指摘。「台湾と中国が異なる国であることを最も理解しているのが日本国民であり、中共が乱暴な政治的手段で台湾の合唱団に圧力をかけ、『台湾』の名義での参加を阻むことは、日本人の義憤を呼び、事態をエスカレートさせる可能性がある。中共の行動は逆効果であり、自らの欠点を露呈するだけだ」と述べた。
また、李氏は「台湾は高度な科学技術力と自由・民主主義を背景に、世界で最も人気のある国の一つとなっている。合唱の分野でも国際的な賞を数多く受賞し、台湾の文化芸術は世界中で愛されている。中共がどんな横暴な圧力をかけようとも、『台湾は台湾、中国は中国』という事実は決して変わらず、中共の目的が達成されることはない」と強調。国際大会で台湾を代表する選手たちが大きなプレッシャーに直面していることに対し、すべての国民と海外の台湾同胞が力強い後ろ盾となり、支援を続けると表明した。
李氏は、「台湾は今後も成長を続け、国際社会からの支持をさらに獲得できると確信している。チーム台湾は最高のパフォーマンスで台湾を世界に知らしめ、世界が台湾をより受け入れてくれることを信じている」と締めくくっている。
しかしこうした重圧の中、台湾の尼布恩合唱団はフォルクロア部門で1位となった。彼らはSNSに、「今回の日本行きは平坦な道のりではなかった。コンクール開催途中、突如として出現した挑戦に不意を突かれた。だが私たちは逃げもせず、屈しないという選択をした」「この金メダルは私たちだけのものではない。『文化には歌う価値がある』と信じてくれるすべての人たちのものでもある」と書いた。
また、投稿した複数の写真の中には、「TAIWAN」(台湾)と記載された賞状の写真もあった。関係者によると、主催者側は「チャイニーズ・タイペイ」(Chinese Taipei)のほかに、「TAIWAN」と書かれた賞状も用意し、尼布恩合唱団に両方を授与したという。
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