中国・雲南省昆明市中心部で7月20日午後1時過ぎ、SUVが赤信号を無視して暴走し、歩行者や配達員らを次々とはねる事件が発生した。
目撃者は「悲鳴が響き、現場は血だらけだった。まるで地獄を見ているようだった」と語り、あまりの惨状にその場で泣き崩れる人もいたという。現場には倒れた人々や壊れた自転車、散乱した荷物が無惨に広がり、通行人らは恐怖に凍りついて動けなくなっていた。

ネット上に流出した監視カメラ映像には、他の車が停止するなか、暴走車が加速して群衆に突進し、倒れた人々を避けることなく走り去る様子が映っていた。事件直後にこの映像が拡散されたことで、犯行が計画的・意図的だった疑いが強まり、ネット上では怒りと恐怖の声が噴出している。
暴走車はその後も逃走を続け、追跡してきた警察車両と正面衝突し、複数台を破壊。最終的に武装警察が車両を包囲し、運転手に向けて4発発砲した上で拘束した。SNSには、警官が車の窓を割って男を引きずり出し、地面に押さえつける映像も拡散。「射殺された」との情報も飛び交ったが、公安は後に「逮捕した」と発表した。
(2025年7月20日、雲南省昆明市で歩行者に突進するSUV車両。監視カメラ映像)
容疑者は昆明航空に所属する37歳の男性パイロット・黄で、公安当局は「個人的な感情問題、職務異動、資産・負債などが重なり、無差別に人をはねた」との見解を示している。
一方、地元住民は「少なくとも5人が死亡した」と証言するが、当局の公式発表では「交通事故で死者2名、負傷者9名」としており、情報の食い違いや「交通事故」として処理しようとする当局の姿勢に批判が集中している。
背景には、社会への深い絶望から来る「社会報復」の動機があったことは明らかで、中国社会にまたも深い衝撃を与えている。
(現場の様子)
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