カナダの大手流通企業アリマンタシォン・クシュタール(クシュタール)は2025年7月16日、セブン&アイ・ホールディングスに対して行っていた買収提案を正式に撤回すると発表した。同日付でクシュタールが公表した取締役会宛ての書簡によれば、撤回の理由は「セブン&アイ側による建設的な協議の欠如」であるとしている。NHKなど複数のメディアが報じた。
クシュタールは2025年初頭、セブン&アイの全株取得を目指して株式1株あたりおよそ2700円、総額約7兆円という大規模な買収提案を行った。両社は5月に経営陣同士で2回の会合を持ったものの、それ以降具体的な進展はなかった。クシュタール側は、機密保持契約の締結後も資産査定がごく限定的にしか実施されず、十分な協議が行われなかったと主張している。
また、全株取得案のほか、日本事業のうち40%だけを取得する別案なども提示したが、いずれの案についても合意には至らなかった。クシュタールは「誠意を持って協議に臨んだが、セブン&アイの協議姿勢に問題があった」と指摘している。
一方、セブン&アイは7月17日朝に「クシュタール側が協議を一方的に終了し、正式に買収提案を撤回したことを確認した」と発表した上で、「本決定は遺憾であり、クシュタール側の主張には事実と異なる点が含まれている」と反論した。あわせて、セブン&アイの特別委員会は「株主利益に資する実現可能な取引合意を目指し、誠実かつ建設的な協議を進めてきた」と説明している。
今後について、セブン&アイは「北米事業を含むグループ全体として持続的な企業価値向上と中長期的な成長を目指して独自施策を進める」と述べている。
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