米下院「対中共戦略競争特別委員会」の与野党のリーダーたちは、7月10日にグーグルの責任者宛てに書簡を送った。その中で、中国共産党(中共)に関係するネット詐欺、とくに偽広告や偽の交際を利用した、いわゆる「豚の屠殺詐欺」への取り締まりを強化するよう求めた。国際社会は、中共によるスパイ活動やハッカーの浸透に対して、警戒感を一層強めている。
同委員会の委員長ムレナール氏と、民主党側の筆頭委員であるクリシュナムルティ氏は、書簡の中で、グーグルがAIを活用して詐欺広告を遮断した初期成果を評価すると述べた。
書簡では、デジタル詐欺との戦いが日々激化し、手法もますます巧妙になっている中で、多くの詐欺活動の発信源が中共と関係する犯罪組織であることが明らかになっていると指摘している。特に「豚の屠殺詐欺」が米国国内の弱者層に深刻な被害をもたらしていると強調した。
FBIのデータによると、2024年における全米の暗号通貨詐欺による損失額は総額で約100億ドルに達し、その中でも「豚の屠殺詐欺」が一定の割合を占めている。とくに中高年層が最大の被害者となっているとのことだ。
また、米国当局の要請を受けて、イタリア警察は最近、33歳の中国人・徐澤偉容疑者を逮捕した。徐は中共に関連するハッカーであるとされており、米国側は身柄の引き渡しを求めている。
起訴状によると、徐容疑者と共犯者の張宇は、2020年2月から2021年6月の間に、中共国家安全部が主導する大規模なサイバー攻撃に加担し、米国の複数の大学や研究機関を標的にした。両者は新型コロナウイルスのワクチンや治療に関する研究成果を盗み出し、合計1万2700の機関から機密データを入手し、米国の安全保障に重大な脅威を与えたとされている。
さらに、起訴状では、徐容疑者が上海国家安全局の直接的な指揮下にあり、マイクロソフトのメールシステムの脆弱性を突いて、世界中の数千の標的に侵入を試みたことも明記されている。その中には、テキサス州の大学や世界的に有名な法律事務所も含まれていたという。
徐容疑者は外部には上海集塔半導体会社のITマネージャーを名乗っていたが、実際には長亭科技という会社のセキュリティ技術ディレクターであり、同社は中共当局と密接な関係があると報じられている。
さらに、米国司法省とFBIは先週、違法な中共の代理人である陳元策と頼立仁の2人を逮捕した。彼らは米国国内で密かに情報収集や浸透活動などの任務を遂行していたとみられている。
中共によるサイバー浸透や攻撃が激化する中、米連邦捜査局(FBI)は最近、異例とも言える簡体字中国語による声明を発表した。声明では、中共国家安全部を「手段を選ばず、恥を知らない」と強く非難し、米国の技術や機密情報を盗んでいると糾弾している。
米国議会図書館の特別蔵書作家であり、投資会社のCEOでもある蒋品超氏は次のように述べた。
「FBIはX上で、中共政権の悪質な行為を厳しく、かつ異例な形で非難した。彼らは国際法の基本原則を無視しており、非常に悲しいことだ。現在、国際社会が中共のハッカーやスパイに対して取っている行動は、まさに明確な警告となっている」
分析によると、中共はすでに米国に対して「超限戦」を仕掛けているとされており、米国は包括的な防御体制を構築する必要があると指摘されている。
元北京の弁護士で、現在カナダの民間人権団体の主席である頼建平氏は、次のように語っている。
「国際社会はすでに中共のこのような拡張主義的な行動や浸透戦略が、世界全体に対する脅威であると深く認識しており、各国はその浸透行為を抑止するため、あらゆる手段を使って対抗措置を強化している。これは覇権主義に対する正当な反撃だ」
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