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中共 EU医療機器の購入を禁止へ 欧中貿易の衝突が激化 

2025/07/09
更新: 2025/07/09

中国共産党(中共)は7月6日、EUが中国製医療機器に対して導入した制限措置への対抗措置として、EUの医療機器調達を制限すると発表した。この措置は欧中関係をさらに悪化させる可能性が高いとみられている。

中共の王毅外相がヨーロッパを訪問している最中であっても、欧中間の貿易衝突は一層激しくなっている。

7月6日、中共の財政部は、同日より、EU企業を中共政府による調達事業のうち、4500万人民元(約630万ドル)を超える一部の医療機器案件から除外すると発表した。

また、EU以外の企業が入札する場合でも、中共当局は契約総額に占めるEU製品の比率が50%を超えてはならないと求めている。

大紀元のコラムニスト・王赫氏は次のように述べている。

「中共がこのような報復措置を取ったのは、この分野で一切譲歩しないという意思表示であり、EUと正面から対立していることを意味する。これは欧中関係にとって大きな打撃となる。実際のところ、中共はEUを自らの陣営に引き込みたいと考えてきたが、EUを見下し、さまざまな形で牽制や圧力をかけてきたため、関係改善には至らなかった。中共がEUを引き寄せ、欧米の連携を分断しようとした戦略も成果を上げていない」

中共財政部は、EU以外では入手困難な医療機器の調達案件については、今回の報復措置の対象外とすると説明している。

王赫氏はさらに次のように指摘する。
「実際、中国の高性能医療機器の多くはEU製に依存している。中共がこのような制裁措置を取ることは、中国の医療市場にとって大きな損失となり、自ら問題を招くことになる。それでも中共は『メンツ』を重視しており、自ら損失を被ってでもEUに譲歩を迫ろうとしている。まるで小悪党のようなやり方だ」

中共の商務部の通知によれば、すでに落札通知や結果が発表されている案件については、新たな制限措置の影響を受けないとしている。

また、EU資本の企業が中国国内で製造した医療機器についても、今回の制限措置の対象にはならない。

米国セント・トーマス大学国際研究講座の葉耀元教授は、「厳密に言えば、これら一連の措置によって中国外交部は欧州との関係維持をより難しくしている。両者の信頼が損なわれれば、貿易や経済交流も減少していくだろう」と述べている。

AFP通信によると、今回の制限措置の対象となる製品には、義肢や部品、医療機器、手術器具、内視鏡、人工臓器などが含まれている。

王赫氏は、「トランプ氏は世界的な関税同盟を構築しようとしており、EUもその一員となって中共を包囲する動きに加わろうとしている。このような状況において、中共は市場規模が特に大きくない医療機器分野ですら譲歩せず、EUと対立している。これでは中共の対EU政策はまったく進展しない。こうした対応は中共の政策の愚かさを示している」と語っている。

以前、EUの調査では、EUの公開入札のうち95%が世界の他地域に開放されている一方で、中国では欧州企業が中共政府の公共契約をほとんど獲得できていない実態が明らかになっていた。

こうした背景を踏まえ、EUは6月20日、中国企業の製品を500万ユーロ以上の医療機器の公共契約から除外することを決定し、「EU製品に対する差別的扱いを是正する」と表明した。

葉耀元教授は次のように分析する。
「ヨーロッパが今後さらに米国と緊密になる可能性が高いと考えている。中共が現在のように強硬なナショナリズムを維持し、他国と正面衝突すれば同様に報復するという姿勢を続ける限り、中国にとって好ましい結果は得られない。ヨーロッパはその典型であり、今まさに中国から距離を置こうとしている」

EUは昨年、中国製電気自動車に45%の関税を課した。さらに、今年7月4日には中共政府もEUから輸入されるブランデーに対して関税を課すなど、双方が報復措置を取り合う状況となっている。

王赫氏は最後に、「EUは今、米国と共に西側諸国による統一戦線を構築し、中共に対抗しようとしている。このような状況では、EUも経済面で中共に対して以前のように簡単に譲歩することはなくなっている。現在、EUが統一した立場をとったということは、EU27か国の内部でも中共に対する強硬姿勢が主流になってきたことを示している」と述べている。

近年、欧中間では複数の分野で貿易摩擦が相次いでおり、その対立はエスカレートし続けている。