【閲覧注意】本記事には、残虐な映像や画像があります。
ご注意ください。
中国の町にまた、暴走車。そう、「また」なのである。
暴走車と呼ばざるを得ないのは、明確な意図を持った攻撃であった可能性が高いと多くの市民が感じているからだ。
7月1日午前11時ごろ、広東省広州市の繁華街で、白い自家用車が突如バス停に突っ込む事件が発生した。現地の防犯カメラやドライブレコーダー映像によれば、車は左車線から急加速して右車線の路肩に乗り上げ、歩行者やバス停に並んでいた市民に向かって減速することなく突入した。
事故現場の映像では、車の前部は激しく変形し、バス停の広告ガラスも粉々に砕け、多数の人が路上に投げ出される凄惨な光景が映し出された。

「スマホを見ていた」──それは本当か?
現地警察は「3人死亡、3人負傷」と公表し、「64歳の男性運転手・陳が運転中にスマートフォンを操作していたため不注意による事故」と断定。飲酒運転や薬物の影響はなかったという。
しかし、当局の説明にネット世論は強い疑問を呈した。
「スマホ見てたら普通はスピード落ちるだろう」「ブレーキランプが一度も点灯していない」「これだけの距離を暴走しながら、一度も修正動作が見られないのは不自然だ」「あれは明らかに狙って突っ込んだ」との声が相次ぎ、不注意という説明では到底納得できないとする声が大半だ。
「なぜいつもバス停なのか」「また事故ということで片付けられるのか」といった書き込みも目立つ。
こうした疑念は、決して根拠のないものではない。近年の中国では、無差別に歩行者を轢き殺す暴走事件が頻発しており、多くが運転ミスや精神疾患として処理されてきた。しかし、その背後には、失業、家庭崩壊、社会的鬱屈といった背景を抱えた社会報復の動機が間違いなく潜んでいた。
(中国・広東省広州市で発生したバス停突入事故、2025年7月1日)
事故か、隠蔽か──人々の疑念は尽きない
もちろん、本件が、単なる不幸な交通事故である可能性を完全に否定することはできない。しかし、問題は、中国社会がこれまであまりにも多くの隠蔽を見てきたがゆえに、どんな事故が起きても「また真相が隠されているのではないか」と疑わざるを得ない社会構造そのものにある。
今回の事故でも、現場映像や目撃証言は、次々とSNSから削除され、「事故現場」や「バス停突入」といったキーワードは検閲対象になった。さらに、警察の発表からは「バス停に突っ込んだ」という重要な事実そのものが削除された。
結果として、事故なのか、社会報復なのか、あるいはもっと別の理由なのか、その問いには誰も答えられられず、そして、この構造が変わらない限り、今後も中国社会では、どんな事故も「隠蔽された事件」として語られ続けるだろう。

時は7月。中国国内のSNSでは、「人混みを避けよう」「またどこかで社会報復が起きるかもしれない」という不安の声が広がった。
見えない恐怖と猜疑心が、今日もまた、中国社会を静かに覆った。
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