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地価上昇が加速 2025年路線価 バブル後最大の2.7%増

2025/07/01
更新: 2025/07/01

国税庁が7月1日に発表した路線価は、全国平均で前年より2.7%上昇した。上昇は4年連続となり、現在の算出方法が導入された2010年以降では最大の伸び率である。インバウンド需要の回復や都市部の再開発が地価を押し上げ、資産価値の上昇とともに相続税負担の増加が注目される。

住宅地・商業地ともに上昇傾向

住宅地の平均上昇率は約2.1%、商業地は約3.9%に達し、いずれも前年を上回った。特に、東京都心部や大阪、名古屋などの三大都市圏に加え、札幌、仙台、広島、福岡など、地方中核都市でも上昇傾向がみられた。

地価上昇の背景には、インバウンド需要の急回復と再開発がある。2025年1月の訪日外国人客は過去最高の378万人を記録し、銀座や浅草の商業地を押し上げた。東京では「渋谷サクラステージ」、福岡では「博多コネクティッド」などの再開発が就業人口や人流を増やし、住宅・商業地の需要を喚起。低金利環境や住宅取得支援策も住宅地の底堅さを支えている。

課題 税負担増と二極化

地価上昇は資産価値を高める一方、相続税・贈与税の負担増を招く。たとえば、東京都中央区の住宅地(1平方メートルあたり590万円)では、評価額上昇により税額が数百万円増えるケースもある。地方では、栃木、群馬、新潟など15県で住宅地が下落し、都市部と地方の二極化が進行しており、能登半島地震の影響で石川県輪島市は住宅地で14.5%下落、珠洲市は商業地で16.8%下落と、地域差が鮮明だ。人口減少や自然災害の影響が地方の地価を圧迫している。

不動産市場は、インバウンド需要や半導体工場の進出(熊本、北海道千歳)により当面堅調な推移が予想される。ただし、日銀の金利政策や人口減少、地政学的リスクが変数になる。政府の住宅支援策や都市計画の進展が、地価の動向を左右する重要な指標となるだろう。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。