中国共産党(中共)商務省はここ数週間、全国のレアアース関連企業に対し、重要技術を持つ従業員の詳細な名簿提出を要求している。名簿には、従業員の専門技術、学歴、研究経験、さらには個人情報まで含まれる。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(25日付)は、関係者の話として、中国政府が「レアアース専門家名簿」を作成し、技術人材の海外流出や企業機密の流出を防ぐ監視体制を強化する狙いがあると報じた。一部の企業には、従業員のパスポートを企業または地方政府が管理するよう指示されているという。
中国は世界最大のレアアース鉱石の生産・加工国であり、レアアース磁石の生産量は世界全体の約9割を占める。これらの素材は自動車、電子機器、軍事装備など幅広い分野で使用され、米中貿易摩擦の中心的な争点の一つとなっている。
中共政府は今年4月から新たなレアアース輸出許可制度を導入し、世界のサプライチェーンをさらに制限。欧米の企業は中国製品への依存度が高いため、一部の工場が生産を一時停止する事態となっている。
これに対し、G7首脳は先週の首脳会合で「重要鉱物行動計画」を策定。市場への意図的な干渉への協調対応や、採掘、加工、製造、リサイクルの多様化を推進する方針を打ち出した。
一方、ブルームバーグによると、トランプ政権はバイデン政権時代に始まった国内レアアース磁石サプライチェーンの構築計画を再始動。採掘、加工、磁石生産の国内供給網の構築を目指し、今後6か月から1年で国内のレアアース磁石供給を増やす提案を求めている。
米ノースイースタン大学の電気・コンピュータ工学の教授ビンセント・ハリス氏は大紀元に対し、中共がレアアースの独占的地位を利用してアメリカやヨーロッパに過度な圧力をかけることは、自身にとって「非常に危険な状況」を招くと指摘。欧米諸国が代替品を開発すれば、中国はレアアースを戦略的カードとして使う力を失う可能性があると述べた。
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