遼寧省の都市部で起きたバスの暴走事件が、現地社会に衝撃を広げた。
事故として処理されたが、「社会報復型の無差別襲撃では」との見方も根強く、ネット世論が荒れている。
6月17日夜、遼寧省瀋陽市の瀋陽大学前の通りで、路線バスが突如として暴走。歩行者や複数の車両に次々と衝突し、少なくとも2人が死亡、16人が負傷する(公式発表)惨事となった。
現地当局は「運転手の操作ミスによる事故」と説明し、52歳の男性運転手を拘束したが、飲酒や薬物の影響ではなかったと発表した。しかし、ネット上では、現地映像や目撃証言が拡散され、「事故ではなく意図的な暴走だったのではないか」との声が噴出した。
というのも、バスは赤信号を無視して突入し、かなりの距離、交差点で待機していた複数の車両や通行人をはねながら暴走し続けた。映像には、建物の階段に突っ込むバスや、下敷きになった人々の様子も映っており、「死傷者数を過少報告しているのでは」との疑念も根強くある。
中国では近年、理不尽な社会構造に失望した個人による「報復型の無差別襲撃」が相次いでおり、今回もそうした社会病理の延長線上にあるのではという見方が強い。
中国共産党(中共)当局は、しばしば事件の背景を「精神疾患」「操作ミス」といった個人要因に矮小化しようとするが、社会に蓄積した怒りが噴き出した結果である可能性を否定できない。
(現場の様子)
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