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米国の留学生ビザ制限と日本の受け入れ政策 参院委で神谷議員が問題提起

2025/06/11
更新: 2025/06/11

6月10日に開催された参議院財政金融委員会において、神谷宗幣議員(参政党)は米国がハーバード大学などに在籍する外国人留学生に対してビザ発給の制限や国外退去処分を行っている背景について、政府の見解を質した。

米国のビザ制限の背景

外務省の熊谷審議官は、「日本政府として米国の政策決定の背景を説明する立場にはない」としつつも、米国時間6月4日に発表された大統領布告の内容を紹介した。それによれば、ハーバード大学が外国人学生に関する違法行為について国土安全保障省への十分な情報提供を拒否したこと、これが安全保障上のリスクをもたらすことが記載されていると説明した。

神谷議員はさらに、米国大統領布告の内容を引用し、「中国などの敵対勢力が学生ビザを悪用し、名門大学で情報収集を行っている」「ハーバード大学は過去10年で中国から1億5千万ドル以上を受け取っており、中国共産党の純軍事組織の後継者を繰り返し受け入れて訓練していた」と指摘。ハーバードの研究者が中国の軍事近代化に貢献し得る研究を中国拠点の個人と共同で行っていた事例も報告されていると述べた。こうした背景から、米国は非民主的な国からの留学生受け入れを制限していると説明した。

日本の大学の受け入れ方針と政府の対応

神谷議員は、米国で受け入れを拒否された学生を日本の大学が無償で受け入れようとしている点に懸念を示した。これについて、文部科学省の金城政務官は「米国政府から文部科学省に対して事前の相談はなかった」と明言。各大学がそれぞれの学生の実情や大学の方針に応じて支援を検討していると説明した。

神谷議員は、特に「ハーバード大学に通えるほどの富裕層に対して日本の税金を使って援助する必要はない」と指摘。さらに、過去にも中国の国防七校の学生受け入れなどについて質問主意書を提出してきたが、納得のいく回答が得られていないと不満を表明した。

中国の「国防七校(国防七子)」とは、国務院の工業・情報化部が所管し、国家国防科技工業局(SASTIND)が直接管理する七つの大学を指す。これらの大学は中国共産党軍と密接に連携し、軍事技術や先端兵器の研究・開発を担っている。具体的な七校は以下の通りである。

  1. ハルビン工業大学
  2. 北京航空航天大学
  3. 北京理工大学
  4. ハルビン工程大学
  5. 西北工業大学
  6. 南京航空航天大学
  7. 南京理工大学

SPRING事業における外国人支援の現状

また、神谷議員は次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING/スプリング)についても質問。最大年間290万円を支給するこの制度の根拠や、外国人・中国人留学生への支給実績について尋ねた。

文部科学省の先﨑科学技術・学術総括官は、「スプリング事業は科学技術イノベーション人材を育成するための制度で、特別研究員制度を参考に支援額を設定した」と説明。令和6年度の支援人数は1万564人で、日本人学生が6,439人、留学生が4,125人、そのうち中国人留学生は3,151人であると明らかにした。

神谷議員は「本来は日本人研究者育成のための制度であるはずなのに、4割が外国人、うち3,000人以上が中国人である」と指摘。中国人留学生だけで年間90億円規模の支援が行われていることや、IT人材分野でインド人にも多額の支援がなされている点を挙げ、「国民の不満が高まっている」と訴えた。

厳格な基準と財源の見直しを要望

神谷議員は、「留学生受け入れ自体は否定しないが、外国人学生には厳しいチェックを行い、学費もきちんと払える人だけ受け入れるべきだ」と強調。財源が限られる中で、教育支援の目的や予算の使い道を明確にし、制度の見直しを強く要望した。

今回の質疑は、米中対立下での国際教育政策や日本の高等教育機関の対応、税金の使途について、改めて議論を呼ぶ内容となった。

大紀元日本の速報記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。