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中共へ強い姿勢 G7が台湾へ戦略的支援

2025/03/24
更新: 2025/03/24

3月14日、G7外相会合の共同声明で台湾に関する文言が追加され、「台湾海峡の平和と安定を維持する重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促し、武力や威圧による一方的な変更の試みに反対する」と明記された。また、これまでの声明にあった「一つの中国」政策に関する記述は削除され、この追加と削除の変化は、中国共産党(中共)に対してより強い姿勢を示していることがわかる。

G7(米、英、加、日、仏、独、伊)の対中戦略に大きな変化があったのには、いくつかの重要な要因がある。

トランプ氏がホワイトハウスに返り咲いたこともあり、ロシア・ウクライナ戦争の停戦を推進し、米欧関係の再構築を図るとともに、アメリカのグローバル戦略を再編する方針も強まることもみられ、これにより、西側諸国やEUは外交政策の見直しを迫られている。

G7の仏、独、伊はEUの主導国であり、EUは現在戦略的自立を高め、欧州再軍備計画を全面的に推進している。19日に欧州委員会が初めて公表した防衛白書では、次のように明記されている。

「中国(中共)は、台湾に対して政治、経済、軍事、サイバー、認知面での圧力を強めており、直接的な対立には至らないギリギリのラインを維持している。台湾の現状変化は、大規模な混乱を引き起こすリスクを高め、それは欧州にも深刻な経済的・戦略的影響をもたらす可能性がある」

もし中共が武力で台湾を制し、台湾の現状を強行的に変更すれば、欧州の経済的・戦略的利益に深刻な打撃を与えることになり、そのためEUは傍観することは不可能だ。

日本

深い関係にある日中は、地理的にも接近しており、また日本と台湾の間にも深い歴史関係がある。そのため、中国共産党が台湾に対して取るあらゆる行動に対し、日本は特に敏感だ。

石破茂総理大臣が2月7日訪米し、トランプ氏と会談した際、トランプ氏が「力による平和」を掲げてアジア太平洋地域で中国共産党に対抗する方針に対し、両者は一致した立場を示した。共同声明における台湾問題に関する表現は、前回(2024年4月10日、岸田首相とバイデン大統領)のものよりも踏み込んだ内容で、より直接的かつ強硬な姿勢をみせた。

また台湾問題に関して、両国の基本的な立場は変わっていないことを確認し、台湾海峡の平和と安定が世界の安全と繁栄にとって極めて重要であると再確認し、両岸問題は平和的な方法で解決するよう強く求めている。

そして今回の声明は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、国際社会の安全と繁栄にとって不可欠な要素であると認識されている。両国の首脳は、台湾問題の平和的解決を促進するよう呼びかけ、力と脅威を用いて現状を一方的に変更しようとする試みに反対する立場を示している。さらに、台湾が国際機関に参加することを支持すると表明している。

この声明は前回の声明と比べ、特に「力や脅威を用いて現状を一方的に変更しようとする試みに反対する」という点を明確にしており、また、前回では触れなかった台湾の「国際機関への参加」という内容が加えられており、この内容は中国共産党にとっては敏感な問題になる可能性がある。

さらに、2月15日にアメリカ、日本、韓国の外相はミュンヘンで会談し、3か国の揺るぎないパートナーシップを再確認した。共同声明では台湾海峡の平和と安定を維持する重要性を強調し、それが国際社会の安全と繁栄にとって不可欠な要素であると認識している。

ここでも平和的な方法で両岸問題の解決を促進し、現状を一方的に強制または脅迫によって現状を変更する試みには反対すると述べている。

また、台湾が国際機関に参加することを支持すると表明しており、この会談で韓国もその取り組みに加わったことを意味している。この日米韓の鉄の三角関係は、中国共産党に対する戦略的圧力となっている。

カナダ

トランプ政権はカナダに大きな影響を与えている。カナダのトルドー首相が辞任し、そしてカナダ中央銀行の元総裁であるマーク・カーニー氏が3月9日に首相に就任した。カーニー首相は23日にサイモン総督に議会解散を要請し、4月28日に総選挙を実施する計画だ。カナダは現在政治的移行期にある。

カーニー首相に対して、中国共産党は「対中積極・実務的な政策」を採ることで、悪化の一途をたどる中加関係の改善を期待しているが、8日に20日からカナダ産の輸入品に追加関税を課すことを発表した。

その理由は、トルドー政権が昨年10月にアメリカの圧力を受けて一部の中国輸入品に関税を課したことに対し、中国は報復したからだ。

さらに、20日から続く中加貿易戦争の中、中国外交部は最近、薬物関連の罪で4人のカナダ人を死刑執行したことを確認し、カナダ政府の度重なる寛大な処置の要請を無視している。こうした中共の愚かな行為により、中加関係を困難から脱却させることは到底不可能となっている。

台湾とカナダの関係については、両国は長年にわたり親密な外交関係を続けている。例えば、2023年12月23日、台湾とカナダは台北で画期的な投資促進・保護協定を締結し、これは台湾が包括的かつ先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)に加盟する助けとなるだろう。

また、2024年11月6日には、カナダ下院が満場一致で台湾支持の議案を可決した。この議案では、下院は今後も台湾の国際機関への有意義な参加を支持し、国連決議2758号は台湾に対する中国の主権を確立するものではないことを明記している。分析では、これはカナダ政府と野党が「中国は台湾の主権を所有していない」という点で合意に達したことを意味すると指摘している。

イギリス

2024年7月、労働党は14年ぶりに政権復帰を果たし、対中政策として「再関与(re-engage)」を掲げ、外相や財務相を相次いで中国に派遣し、「外国勢力影響力登録制度(FIRS)など不利な政策を棚上げした。また、与野党の強い反対を押し切って、ロンドンに新たに建設される中国の「スーパー大使館」を支持するなど、対中関係の改善を模索してきた。2024年11月にブラジルで開催されたG20サミットでは、2018年以来となるイギリス首相と習近平の会談も実現した。

しかし、トランプの再登板後、強硬なスタートを切ったことで「英米特別関係」を強調するスターマー内閣は、米中関係の間で再び立場の調整を迫られている。2025年2月27日、スターマー首相は訪米し、トランプ氏と和やかに会談した様子がうかがえた。

さらに、労働党は台湾との協力関係深めることに意欲的で、スターマー首相は2016年と2018年に2度台湾を訪問しており、2020年4月に労働党党首に選出されて以降、台湾と台湾海峡の安全保障への関心と支持を徐々に強化してきた。

英台関係は近年着実に発展しており、2023年11月には両国の象徴的な「貿易関係強化(ETP)」協定に署名し、そして2024年5月欧州では1番目に「有機製品の相互承認に関する覚書」に締結した。

2024年11月28日、イギリス下院は「台湾の国際的地位」に関する動議を可決し、国連総会第2758号議決は台湾の地位を決定するものではないと明言した。これに対し、英外務省のキャサリン・ウェスト 印太平洋担当閣外大臣は政府を代表して、「2758号決議を引用して台湾の国連など国際機関への参加を排除すべきではない」との立場を表明した。

また、イギリスもこの決議を拡大解釈して歴史を書き換えようとするいかなる試みにも反対しており、これは台湾の国民、イギリス、そして国際社会の利益に合致しないと強調した。

結論

近年、中国共産党の台湾に対しての圧力が強まっていき、軍事的脅威が高まる中、G7をはじめとする西側諸国は中国共産党への警戒感を一層強めており、台湾への支持もますます強固になっていき、西側と中国共産党の間で、台湾を巡って戦略的駆け引きが全面的に展開されている。

王赫