米メディアは、アメリカの実業家イーロン・マスク氏が20日に、米国防総省が中国と戦争になった場合の機密作戦計画の説明を受けると伝えた。トランプ大統領と国防総省は「中国とは関係がなく、機密会議でもない」と強く否定した。
この報道はニューヨーク・タイムズ紙が最初に伝えた。同紙は、マスク氏が週末にペンタゴンで20~30枚のスライドによる機密ブリーフィングを受けると報じた。内容には米中間で軍事衝突が起きた場合の作戦配置も含まれているとしたうえで、マスク氏の政策的役割がトランプ政権内で拡大していることを示すものだと論じた。
しかし、トランプ氏は3月20日、自身のTruth Socialに投稿し、「フェイクニュースがまたやってくる。今回はニューヨーク・タイムズだ」と投稿した。「彼らは、イーロン・マスク氏が明日ペンタゴンを訪れ、中国との戦争に関するブリーフィングを受けると誤って報じている。まったくばかげている」とし、「会議で中国が話題に上がることすらない」と強調した。
アメリカ国防長官のヘグセス氏もXに投稿し、「マスク氏を国防総省に迎えるのを楽しみにしている」としながらも、報道内容を否定。
「これは中国との機密戦争計画に関する会議ではなく、イノベーションや生産効率の向上について語り合う非公式な面会だ」と説明した。
マスク氏は現在、トランプ氏の顧問として、連邦政府の支出削減や行政改革を推進する立場にある。この取り組みにより複数の省庁で人員・予算の削減が進められており、国防総省でも今後数万人規模の文民職員の削減が見込まれている。これについては一部で反発の声もあるが、トランプ支持層からは評価されている。
なお、マスク氏本人は現時点でこの件に関して公式な発言をしていない。ただし、マスク氏はテスラやスペースXといった企業のトップとして、米中両国との経済的関係が深いため、政府政策への関与をめぐって利害の衝突を懸念する声も出ている。
ホワイトハウスはこれまでも、「マスク氏がビジネスと政策判断の間で利益相反の可能性がある場合は、自主的に判断から退く」との姿勢を示している。
トランプ氏とヘグセス国防長官は、3月22日にホワイトハウスで共同記者会見を行う予定で、マスク氏との会談内容についても詳細が説明される見通しだ。
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