政府が、3月11日に公表した2024年10~12月期の実質GDP改定値は、前年比2.2%増となり、速報値の2.8%増から下方修正された。主な要因は、個人消費の低迷と民間在庫変動の下振れと見られる。
個人消費は0.1%増、成長の鈍さが鮮明に
GDPの半分以上を占める個人消費(民間最終消費支出)は、前期比0.1%増と速報値から修正無しだった。個人消費の伸びが鈍いことが、成長率の下方修正につながった。
個人消費の低迷の背景には、インフレと実質賃金の伸び悩みがあった。耐久財(自動車や家電)の購入が振るわず、消費者の支出意欲が抑制されたとみられ、サービス消費(外食や旅行)は、一定の回復を見せているが、GDP全体を押し上げるには至らなかった。
民間在庫変動は、速報値の-0.2%から-0.3%に下振れし、GDPの押し下げ要因となった。企業は、在庫を積み増すよりも慎重に調整する姿勢を見せており、需要の回復が不透明な中、供給過剰を避ける動きが続いていた。
住宅投資は-0.2%とマイナス成長を記録。帝国データバンクの調査によると、2024年の建設業の倒産件数は、1890件となり、過去10年で最多を記録した。建設コストの上昇や住宅ローン金利の先行き不透明感が、住宅市場の冷え込みを招いている可能性があったと言う。
設備投資や外需は一定の回復
一方で、企業の投資意欲は、やや持ち直した感がある。設備投資は0.6%増と、速報値の0.5%増から上方修正された。製造業を中心に、設備更新や生産能力拡大の動きが見られ、企業の成長戦略が引き続き進行し、また、財貨・サービスの純輸出は+0.7%と速報値から変わらず、外需が成長を支えた。輸入の減少が寄与した形だが、輸出の伸びは限定的で、海外需要が景気回復を大きく後押しするまでには至っていない。
今後の課題 個人消費の回復がカギ
今回のGDP改定値からは、個人消費の低迷が日本経済の大きな足かせとなっていることが浮き彫りになった。企業の設備投資は堅調なものの、家計の消費意欲が低迷する中で、成長の持続力には懸念が残った。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。