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AI新法案を閣議決定 リスク管理と技術革新の両立目指す

2025/02/28
更新: 2025/02/28

政府は2025年2月28日、人工知能(AI)に関する新たな法案「AI関連技術の研究開発・活用推進法案」を閣議決定した。この法案は、AIのリスク管理と技術革新の両立を図ることを目的としている。

法案では、AI技術を社会経済の発展の基盤と位置付ける一方で、犯罪への利用や個人情報の漏えいなど、国民の権利や利益が侵害される事態を助長するおそれがあることを認識している。そのため、AIの適正な実施を図るための施策を講じることを定めている。

具体的な措置として、国がAIのリスクを調査し、事業者への指導や助言を行う権限を持つことが明記されている。悪質な事案が発生した場合、国は調査結果に基づいて事業者への指導や助言を行い、国民への情報提供も実施する。また、事業者には国の施策に協力する責務があると明記されている。

さらに、AIによって国民の権利が侵害される事態が発生した場合、事業者の名前を公表することで人権侵害の抑止力を高める方針も示されている。ただし、この法案には罰則規定は含まれておらず、AIの安全性や透明性の確保に重点が置かれている。

一方で、法案はAIの適正な研究開発や活用も推進することを目指している。これは、生成AIの普及に伴う悪用の懸念を軽減しつつ、企業の技術開発や国民によるAIの活用を促進する意図がある。

この法案は、世界的にAI規制の動きが加速する中で、日本独自のアプローチを示すものとなっている。EUが2024年8月に発効したAI法が厳格な規制を設けているのに対し、日本の法案は企業の自主対応に委ねていた従来の路線から一歩踏み出しつつも、開発推進と規制のバランスを取ろうとしている。

今回の法案は、AIの急速な発展に伴う社会的課題に対応するための初めての包括的な法整備となる。今後、法案の具体的な運用や効果について、専門家や産業界からの注目が集まることが予想される。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。