農林水産省の発表によると、全国のスーパーにおけるコメの平均価格が上昇を続けている。2月10日から16日までの1週間の販売価格平均は5キロあたり3892円となり、前週と比べて62円の値上がりとなった。これで7週連続の値上がりとなり、1年前と比較すると90%以上の大幅な上昇となっている。
農林水産省は全国約1000店舗のスーパーでのコメ販売価格を毎週調査し、その平均を公表している。この調査によると、2024年2月頃は5キロあたり2000円程度で推移していたが、それと比較すると現在の価格は約2倍になっている。
コメ価格高騰の背景には、複数の要因が考えられる。2023年の猛暑による生産量の減少、インバウンド需要の回復による外食産業での消費増加、さらに家庭での米消費の増加などが挙げられる。また、農業用機械の燃料費や肥料代、人件費など生産コストの上昇も価格上昇の一因と考えられている。
この状況を受けて、政府は2025年2月14日に備蓄米21万トンの市場放出を決定した。
一方、山下一仁氏(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)は、日本の米価格高騰の要因として、農林水産省とJA農協による減反の強化を指摘している。同氏によれば、2024年産の相対価格(60キログラム当たり)は2万4665円と過去最高水準に達しており、これは農水省とJA農協が農家に減反を強化するよう指導した結果であると述べている。 また、山下氏は、政府が備蓄米を条件付きで販売する方針についても批判している。具体的には、将来的に国が買い戻す条件でJAなどの集荷業者に販売するため、放出してもいずれ市場から引き揚げられ、供給量が増えず、米価を引き下げる効果がないと指摘している。これらの点から、山下氏は、減反政策の強化や備蓄米の不適切な運用が米価格高騰の一因であると考えている。
消費者や小売業者にとっては厳しい状況が続いている。今後、政府の対策や市場の動向が注目される。
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