最近、トランプ米大統領とイーロン・マスク氏が、FOXニュースのショーン・ハニティ氏によるインタビューを受けた。連邦政府の改革の進捗や理念について語り、両者の緊密な協力関係がどのように築かれたのかも明かした。
ハニティ氏はインタビューの中でトランプ大統領とマスク氏を高く評価し、「まるで兄弟をインタビューしているような気分だ」と語った。
18日に公開されたインタビューでは、政府の支出削減を目的とする「政府効率化省(DOGE) についても議論された。現在、DOGEは政治的な反発や訴訟に直面しており、特に核兵器関連の重要な人材を解雇した後に再雇用を求めるなどの問題が批判を集めている。マスク氏はトランプ氏への全面的な支持を表明し、両者の強い関係を示した。
「トランプ大統領は素晴らしい人物だ」とマスク氏は語り、トランプ氏も「彼以上に聡明な人物はいない」と述べ、マスク氏を政権の重要なパートナーとして評価した。
マスク氏「暗殺未遂がなくてもトランプ氏を支持」
マスク氏は2024年7月、ペンシルベニア州バトラーでの集会で発生したトランプ大統領暗殺未遂事件の後、トランプ氏への支持を表明した。しかし、実は事件の前から支持を決めていたことを明かした。
「最初からやる(トランプ氏を支持する)つもりだった。決断を早めただけだ」とマスク氏は語った。
これに対し、トランプ氏は「そのことは知らなかった」と驚きを示した。
また、マスク氏は選挙期間中、トランプ氏への支持を公言し、数億ドルの資金を提供したことも報じられている。
マスク氏はトランプ大統領と接する中で、その人柄に対する理解を深めたと語った。
「これまで一度も、彼が意地悪だったり、残酷だったり、間違ったことをしているのを見たことがない」と述べ、トランプ氏に対する批判的な見方を否定した。
トランプ氏に対しては共和党内にも批判的な意見があるが、マスク氏は今回のインタビューで、政策面だけでなく人間性についても支持を示した。
トランプ大統領とマスク氏「対立はない」と強調
トランプ氏とマスク氏はメディアが両者の関係を分断しようとしていると批判した。
DOGEの設立が進む中、一部の報道ではマスク氏の影響力が大統領に匹敵するほど高まっていると指摘する声が上がっていた。特に民主党の一部は、この主張を強調している。
トランプ大統領は、マスク氏から直接電話を受けたことを明かし、その際に「彼ら(メディア)は私たちを引き離そうとしている」とマスク氏が話したという。
「彼らのやり口は見え透いている。昔はもっと巧妙かと思っていたが、実際は下手だ。もし本当に上手かったら、私は大統領になれていなかっただろう」とトランプ大統領は語った。
一方、マスク氏も「自分が大統領の役割を奪おうとしているわけではない」と強調した。インタビューでは、「Tech Support(技術支援)」と書かれたTシャツを着用し、トランプ政権の技術面をサポートする立場にあると説明した。
「私は大統領に技術支援を提供するつもりだ。これは非常に重要だ。大統領は国のために適切な大統領令を出すが、それが実行されないことがある」と語った。
DOGEに関する利益相反 マスク氏「私は関与しない」
インタビューでは、マスク氏のビジネスとDOGEの間に利益相反が生じる可能性についても議論が行われた。
マスク氏が率いる企業の多くは、政府からの支援を受けている。例えば、テスラはEV補助金を受けており、スペースXは国防総省との契約を結んでいる。
この点について、民主党のリチャード・ブルーメンソール上院議員は2月18日に大紀元に対し、「進歩派にとって深刻な問題であるべきだ」と懸念を示した。
インタビューでショーン・ハニティ氏が「トランプ政権は利益相反の可能性にどう対応するのか」と質問すると、トランプ氏は「マスク氏を関与させない」と明言した。
これに対し、マスク氏自身も「私は関与しない」と明言し、DOGEに関連する案件には関与を避ける意向を示した。
「私は自ら身を引く」とマスク氏は語った。
DOGE職員は献身的
政府効率化省の職員に関する話題が何度も取り上げられた。DOGEには多くのエンジニアが在籍している。
トランプ大統領は、マスク氏が優秀な若者を惹きつける能力を持っていると評価し、「彼らを『高IQの人材』と呼んでいる」と語った。
また、「彼らは非常に賢く、そして国を愛している」と付け加えた。
マスク氏は、DOGEのソフトウェアエンジニアについて、「彼らは民間企業で働けば年間数百万ドルを稼ぐことができるが、連邦職員としてはそのごく一部の給与しか得られていない」と述べた。
トランプ大統領も、DOGEの職員を「非常に献身的な人々だ」と称賛した。
財務省に所属するDOGEの職員の一人は、過去の物議を醸したオンライン投稿が明るみに出たことで辞職。しかし、バンス副大統領とトランプ大統領が復職を支持し、最終的にマスク氏は同氏の復職を発表した。
宇宙飛行士の帰還計画について協議
インタビューでは、3氏はNASAの宇宙飛行士スニータ・ウィリアムズ氏とブッチ・ウィルモア氏の帰還を加速させる計画についても話し合った。
本来の宇宙ミッションは8日間の予定だったが、ボーイングのスターライナー宇宙船の不具合により、2023年6月から国際宇宙ステーション(ISS)での滞在が長引いている。
トランプ大統領は今年1月、スペースXのCEOであるマスク氏に、早期帰還を依頼したことを明かした。
その後、NASAは予定していた4月の帰還計画を3月に前倒しした。ウィリアムズ氏とウィルモア氏は、スペースXのクルー10は、ミッションがISSに到着した後に帰還する予定となったと伝えた。
インタビューの中で、トランプ大統領は「彼らは宇宙に置き去りにされた」と発言し、その責任は前政権(バイデン前大統領)にあると非難した。
マスク氏も、「宇宙飛行士の帰還はとんでもないほど延期されていた」と指摘。
「油断はできないが、私たちはこれまで何度もISSから宇宙飛行士を無事に帰還させてきた。今回も問題なく成功させるつもりだ」と語った。
1兆ドル規模の無駄を調査へ
インタビューでは、DOGEがどれほどの無駄、詐欺、不正を発見できるのかについても議論された。
トランプ大統領は、DOGEは「数十億ドル、いや数千億ドル相当の詐欺」を特定していると述べた。
さらに、マスク氏が最終的に1兆ドル規模の「無駄、詐欺、不正、汚職」を特定すると予測し、それでも「政府の不透明な支出のごく一部にすぎない」と指摘した。
マスク氏はこの1兆ドルという見積もりに異論を唱えなかった。
同氏は「アメリカ国民の税金を守るには、能力と誠意の2つが不可欠だ」と述べた。
「もし能力がなく、誠意もないなら、ひどい取引になるのは当然だ」と警鐘を鳴らした。
トランプ大統領は、「民間では、価格交渉が当たり前だ」と語り、政府の契約が民間企業のように値引き交渉を行わないことを問題視した。
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