教員給与上乗せ分 6年後に10%へ改正案 文科省

2025/02/01
更新: 2025/02/01

文部科学省は、公立学校教員の処遇改善に向けた法律改正案をまとめた。この改正案は、教員に支給される給与の上乗せ分を現行の月給4%から段階的に引き上げ、6年後の2030年度には10%にすることを主な内容としている。

改正案によると、給与の上乗せ分は2025年度から毎年1%ずつ引き上げられる。これは、1971年に制定された「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(通称:給特法)に基づく制度の大幅な見直しとなる。
給特法は、教員の業務が幅広く勤務時間の線引きが難しいという特性を考慮し、残業代を支払わない代わりに一律で月給の4%を上乗せする仕組みを定めていた。しかし、この制度が制定されてから約50年が経過し、教員の勤務実態との乖離が指摘されていた。

文部科学省は、教員の人材確保が課題となっている現状を踏まえ、処遇改善が必要だと判断。財務省との調整を経て、今回の改正案をまとめるに至った。

改正案には、給与上乗せ分の引き上げのほか、中学校での35人学級導入や教員の業務負担軽減策も盛り込まれている。これらの施策を通じて、教員の労働環境改善と人材確保の両立を目指している。

一方で、この改正案に対しては、教育現場から様々な意見が出ている。上乗せ分の引き上げを評価する声がある一方で、残業代制度の根本的な見直しを求める意見や、給与よりも人員増が優先されるべきだとの指摘もある。

改正案は2025年の通常国会に提出される予定だが、財源確保(年間2100億円増)や業務効率化の実現など、今後解決すべき課題も残されている。

改正案の主な内容は次の通り。

・教職調整額:2025年度に5%、その後段階的に引き上げ2030年度に10%とする
・給与改善:初任給は15%増(年収ベース)、学級担任への手当加算
・定数改善:2025年度に2190人増、2026年度から中学校で35人学級を段階導入
・働き方改革:退勤から出勤まで11時間の休息確保、29年度までに残業時間3割削減を目標

大紀元日本の記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。