12月11日、中国江蘇省徐州市(じょしゅうし)にある中学校の校門前で、体育の授業中に急死した学生の遺族らが、真相究明を求めて抗議したことがわかった。
十数人の遺族らは「真相がほしい、正義がほしい、息子を返して」と書かれた横断幕を引き、紙幣を燃やしながら泣き崩れていた。しかし、後に駆け付けた警察によって弾圧され、全員逮捕されたという。
この件について、遺族や市民がネットに投稿した関連動画は、中国のネット上で検閲に遭っており、全部削除されていた。
体罰が原因?
死亡した生徒は、体育の授業中、ランニングする最中に意識を失ったが、学校側「新沂市合沟中学」が病院に連絡をしたのは倒れてから30分も経過した後だったという。そのため、「時間的ロスが命取りになったのでは」と遺族は疑っている。
さらに、死亡した生徒は体罰を受けて走らされていたとする情報もあり、遺族は真相究明求めて、校門前で騒ぎ、道行く市民に自分たち惨めな姿を撮ってSNSに投稿してもらい、世論の注目を集めようとしたという。
というのは、現代中国では、「問題を解決したければ、世論に頼るしか道はない、世論の注目を集められない場合、大抵はどこへ訴えても相手にされないという結末に終わる」のが常識だからだ。
近年、中国の学校では暴力事件が絶えず、生徒が校内で自殺、急死するケースが頻発している。
校門前で亡くなった我が子の遺影を掲げて泣き崩れ、世論の注目を乞う遺族の姿を捉えた動画は、中国以外の華人圏(中国国内では検閲にひっかかるため後に削除されることが多い)で多く拡散されている。
しかし、正義を守り、悪を暴き罰することよりも「社会の安定維持」を重んじる当局は、たいてい学校側の利益を守り、加害者側を庇う。被害者は弾圧され、口を封じられるのだ。
(「新沂市合沟中学」前で抗議する生徒遺族、2024年12月11日、中国江蘇省徐州市)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。