2022年、OECDが11年ぶりに実施した国際成人力調査(PIAAC)の結果が発表された。この調査には31か国・地域の16歳から65歳までの約16万人が参加し、日本は引き続き世界トップレベルの成績を維持していることが明らかとなった。
調査の概要
日本では約5200人が無作為に選ばれ、対象者の自宅などでタブレット端末を使い、対面式で行われた。調査は約2時間かけて実施され、文章を正確に理解し要点を把握する力「読解力」と数値やデータを分析・解釈する力「数的思考力」そして変化する状況で最適解を見つける力「状況の変化に応じた問題解決能力」の3分野で評価された。
日本の結果
「読解力」と「数的思考力」は前回の1位から2位に順位を下げるも、トップレベルを維持し、「問題解決能力」もフィンランドと並んで1位となった。また全体的に、すべての年齢層でOECD平均を上回る成績となった。
注目すべき点
「読解力」では成績下位層の割合が増加し、特に45歳から54歳の中年層で成績の低下が見られた。「数的思考力」では成績上位層の割合が19%から25%に増加し、16歳から24歳の平均得点が1位となった。また男女差では、男性の平均得点が女性を12点上回り、その差がOECD平均より大きくなっている。
課題など
日本はOECD調査の調査から世界トップレベルの成績を維持していることが明らかとなったが、一方で聞き取り調査から課題も見受けられた。
聞き取り調査からは、日本では、約29%の回答者が自分のスキルの一部が仕事に必要なレベルより低いと回答しており、OECD平均の10%と比べ、約3倍となった。また、ITスキルを向上させる必要があると答えた人が42%、チームワーク・リーダーシップスキルの向上が必要と回答した人は40%となっている。
そのほか日本人の約35%が現在の仕事に対して必要以上の学歴や資格を持っていると回答し、OECD平均の23%を上回った。最終学歴の専攻が現在の仕事と最も関連する分野でないと回答したのは46%で、OECD平均より8%高くなっている。
OECDのアンドレアス・シュライヒャー教育・スキル局長は、日本の教育システムの効率の高さを評価しつつ、大学教育でのスキル重視する必要性を指摘した。社会人になってからのリスキリング(仕事に必要な新しい能力を学ぶこと)が今後ますます重要になると考えられる。
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