「そのお金、どこから来たのか? どこに使うのか? 振り込んだ人を同席させ関係を証明して」
日本で暮らす私たちにはとても理解しがたいことだが、近年、中国各地の銀行で起きている。
ネット上には「銀行から預金を引き出そうとしたら、銀行から各種の難癖をつけられる」と怒りの声にあふれている。
銀行側は「詐欺を防止するためだ」としているが、これに対し、「詐欺防止など、実に良い口実を見つけたものだ、銀行にお金がないのだろう」と世論は冷ややかだ。
中国農業銀行(遼寧省瀋陽市)
「なにか? 私には自分のお金を自由に使える権利がないというのか? お金を借りに来たんじゃないんだ、自分のお金を使おうとしているだけなのに」
11月28日、SNSに投稿された動画のなかには、銀行員に対して怒りを抑えて、そう訴える預金者の女性の姿があった。
遼寧省瀋陽市に住むこの女性は自身名義の「中国農業銀行(四大国有商業銀行の1つ)」の口座から家賃の支払いの振り込みをしようとしたが、振り込めなかったため、夫に頼んで口座に5千元(約10万円)送金してもらい、そのお金を窓口で引き出そうとしたら、問題発生。
銀行から「誰が振り込んだのか」と聞かれ、振り込んだ人(夫)の同席と2人が夫婦関係であることの証明を求められた。(身分証や戸籍謄本、結婚証などの提供)
さらには引き出そうとする預金5千元の使用用途を証明せよといわれたという。
難癖をつけられて預金の引き出しを拒もうとする銀行員に対し、女性は上述のように権利主張をし、努めて冷静に交渉をした。
すると、最終的に、銀行員が上層部へ相談した結果、証明材料なしでも直接預金を引き出しても良いという指示が下りたという。
(当時の様子)
中国工商銀行(河北省邢台市)
同じようなケースは、11月27日に河北省邢台市(けいだいし)にある中国工商銀行(中国4大商業銀行)でも起きた。当時、入院中の夫のために急いで入院費を支払わないといけない預金者の女性が、銀行窓口で自身の口座から2万5千元(約50万円)を引き出そうとした。
すると、銀行から使用用途を聞かれ、さらには女性の夫の入院先、入院病棟など、どこまでも詳しく聞かれた上、延々と事実確認の電話を20分以上かけ続ける。「自分のお金をどこに使おうが私の勝手だろう、自分のお金を引き出すのがダメなのか!」とこちらの女性も怒り心頭で訴えた。
(当時の様子)
中国銀行(広東省東莞市)
11月29日に中国銀行(広東省東莞市)でも同様のことが起きた。送金しようとしたら「預金の出所を確認しなければならない」といわれ、「このお金は私のお金か、それとも銀行長のものか? なぜ自分のお金を送金できないのか?」と預金者の中年男性は怒り狂ったのだった。
(当時の様子)
「大金」引き出そうとしたら「公安の同意が必要」?(遼寧省)
靴下工場の経営者の男性は、労働者の給料や工場の出費などに充てる100万元(約2047万円)を口座から引き出そうと事前に銀行に連絡をし、指定された通りの時間に窓口にいった。
しかし、そこで「大口預金の引き出しは詐欺防止担当の警察の同意が必要」また、「口座のお金が合法的であることの証明(銀行の取引履歴の印刷、口座へ送金した者の経営許可証などの書類の提出)をして」と言われたという。
「どうして銀行でお金を下ろすのに公安局に連絡しないといけないのか?」と不服の男性。すると、銀行員は「あなたのような大口の引き出しは国家機密に関わるから」と回答する。
(当時の様子)
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