広東省韶関市にある小学校(「乳城鎮小学」)で先月11日、 小学1年生の女児(6歳)が同じ学校の高学年の少年によって熱湯を顔や体にかけられる事件が起きた。
女児は顔や胸、足など広範にわたってひどい火傷を負い、1か月も入院した。現地教育当局や学校責任者は「子供同士のいたずらであり、故意による行為ではない」としている。
「いたずら」という主張に納得できず、責任追及をする被害女児の家族は子供の遭遇したことをSNSで訴え、世論の注目を集めた。
一部中国メディアも事件を取り上げて報道をしている。
そんななか、病院退院後に学校復帰した女児のランドセルの中に加害者家族からの「脅迫状」が入っていたことがわかった。
そこにはこう書かれていた。「これ以上抖音(中国版tiktok)にあんたの娘の件の責任追及を求める動画を投稿するようなら、あなた一家をただじゃおかないぞ」
この赤裸々な脅迫状を見た父親は、「私はビジネスマンだ、自分から面倒を起こしたりはしないが、しかしだからと言って、私は何も恐れているわけではない。私が法的な武器を手に取るのをやめたとき、あなたには、立って私と話す機会すらないだろう」とSNSに投稿し、自身の「離婚証」の写真も添えた。
つまり、「自分はもう離婚している。これ以上追い詰められたら自分は何をするかかわからないぞ、法に訴えても娘を守れないならば、自分の手で復讐するぞ」ということをこの父親は言っているのだ。
一度は「自らの手による復讐」をほのめかした父親であった。父親は「脅迫状」をクラスのグループチャットに送信すると、加害者家族から「それをクラスのグループに送るなんて名誉を傷つけられた!」として謝罪を求められたという。
彼がどんなプレッシャーを受けてきたのか知る由もないが、「娘は心にも深い傷を負っている」として「もうこれ以上事件に関して追及しないから、(加害者家族よ)どうか見逃してほしい」と父親は最終的に謝罪をすることになったそうだ。
「被害者なのに、苦しめられて、謝罪させられて終わった」この事件は華人圏でも物議を醸しており、「正義は死んだ、あの国どうかしてる!」などと、何とも言えない嘆きが広がっている。
「法律は死んだ」
中国において、「法律は死んだ」。この言葉は、不公を受けた陳情民をはじめ、どの人権弁護士も口にする言葉だ。
下に付けた動画に映るのは、北京市の高等裁判所前で「白と黒の紙」を無言で回す市民。動画投稿者も書いたように「この市民が伝えたいことは『黒白を転倒する(颠倒黑白)』」と思われる。
中国語で「黑白」とは「是非」や「善悪」を表している。「黒白を転倒する」というと、是非善悪をあべこべにする、善悪を区別しないということだ。
(北京市の高等裁判所前で『白と黒の紙』を無言で回す市民)
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