トランプ氏は大統領選で勝利した直後から、閣僚の人選を公開している。大統領の閣僚には通常、副大統領や15の行政部門の長官、大統領首席補佐官、国務長官、環境保護局(EPA)長官などが含まれる。
現在までに決まったトランプ氏の閣僚をご紹介します(多くは来年の上院承認が必要)
ブルック・ローリンズ氏を農務長官に指名
トランプ氏は、ブルック・ローリンズ氏を農務省の長官に指名した。
トランプ氏は11月23日の指名発表時に「ブルック氏は、アメリカの農家からの支援、国内の食料自給率の向上、小規模農業を基盤とする地方都市の再建に全力を尽くしてきた人物だ」と評している。
ローリンズ氏は、2016年のトランプ氏の選挙キャンペーンで経済諮問委員会のメンバーとして働いていた。その後、トランプ前政権で国内政策会議議長、アメリカン・イノベーション局長、戦略的イニシアチブ担当補佐官を歴任。
トランプ前政権での任期終了後、ロリンズ氏はアメリカ・ファースト政策研究所の所長兼最高経営責任者に就任した。
次期政権では、農務長官として、農業、食料、天然資源に関連する多岐にわたるプログラムの監督を担うことになる。
ラス・ヴォート氏を行政管理予算局長官に再指名
トランプ氏は、行政管理予算局(OMB)の局長にラス・ヴォート氏を指名した。
承認されれば、ヴォート氏はトランプ前政権に続き再び同職を務めることとなる。
2019年、ヴォート氏はミック・マルバニー氏の後任として行政管理予算局の局長に就任し、トランプ前政権下で予算編成を指揮した。
行政管理予算局は大統領府の一部で、大統領の政策目標を達成するための予算案を作成する。
指名発表を受け、ヴォート氏はXで「国民のために未完の課題がある中、再び声がかかり光栄だ」と意気込みを語った。
ヴォート氏は、保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」の政策提案書「プロジェクト2025」の作成にも携わっていたが、トランプ氏は選挙戦でこの900ページ超の提案書に記載されている一部の内容に反対していると明言していた。
ロリ・チャベス=デリマー氏を労働長官に指名
トランプ氏は、オレゴン州選出の共和党議員ロリ・チャベス=デリマー氏を労働長官に指名した。
チャベス=デリマー氏は2022年からオレゴン州の下院議員を務めていたが、民主党優勢の同州で再選を逃した。
中道派として知られるデリマー氏は、公務員の労働交渉権を確保する「公共サービス交渉の自由法」や「リチャード・L・トルムカ組織保護法」など、多数の労働組合が支持する法案に賛成している。
トランプ氏は「ロリ氏は、企業と労働者の双方と協力し、アメリカの労働力を築き、勤勉なアメリカの人々を支えるために尽力してきた」と評価している。
スコット・ターナー氏を住宅都市開発長官に指名
トランプ氏は、元ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)選手のスコット・ターナー氏を住宅都市開発長官に指名した。
NFL引退後、ターナー氏はテキサス州下院議員を務め、地域活性化を目的とした財団「コミュニティ・エンゲージメント&オポチュニティ・カウンシル」のCEOとして活動している。
ターナー氏はトランプ政権下で「ホワイトハウス機会活性化評議会」の初代事務局長を務め、経済的に困難な地域、特に「オポチュニティ・ゾーン」と呼ばれる地域の経済活性化を推進した。
トランプ氏は、ターナー氏について「スコット氏のリーダーシップにより、オポチュニティゾーン(アメリカの税制優遇措置を通じて経済的に困難な地域を活性化することを目的としたプログラム)には500億ドル以上の民間投資が集まった」と述べ、ターナー氏のこれまでの功績に感謝の意を表した。
スコット・ベッセント氏を財務長官に指名
トランプ氏は、ウォール街の金融家スコット・ベッセント氏を財務長官に指名した。トランプ氏は11月22日の声明で、「スコット氏は世界有数の国際投資家として、また地政学や経済戦略の専門家として広く尊敬されている」と述べた。
ベッセント氏は、2011〜15年まで米著名投資家のジョージ・ソロス氏のファミリーオフィス「ソロス・ファンド・マネジメント」で最高投資責任者(CIO)を務めた。その後、独立してマクロヘッジファンド運営会社「キー・スクエア・グループ」を設立した。同社は、ソロス氏から20億ドルの投資を受けた。
ベッセント氏は、これまで政治活動にはあまり関与していない。2024年の大統領選ではトランプ氏の資金集めイベントを数回主催したが、これは2000年にアル・ゴア副大統領の大統領選への立候補を支持して以来、初めての政治活動だった。
ベッセント氏は、トランプ氏の関税計画を強く支持しており、関税を「素晴らしい手段」と呼んでいるが、一律10~20%の関税や中国製品への60~100%の課税など、関税は「段階的に導入する」べきだと提言している。
ボンディ氏を司法長官に指名
トランプ次期大統領は21日、フロリダ州の元司法長官パム・ボンディ氏を司法長官に指名すると発表した。マット・ゲーツ氏は指名から撤退した。
ボンディ氏は、トランプ前政権下でオピオイドおよび薬物乱用対策委員会に所属していた。トランプ氏は、声明で「パムは司法省を本来の目的である犯罪との戦いおよびアメリカの安全確保に再び集中させるだろう」と述べ、ボンディ氏の指導力への期待を示した。
2019年、ボンディ氏はトランプ氏の弾劾裁判において弁護チームに加わり、最終的にトランプ氏は無罪判決を言い渡された。
検察官として、ボンディ氏は家庭内暴力から死刑事件に至るまで、幅広く訴訟に臨んできた。フロリダ州の司法長官としては、オピオイド処方に関連する汚職に対する改革を推進し、大きな成果を上げた。
トランプ氏は、「パムについて長年知っている。賢く、強い意志を持ったアメリカ・ファーストの闘士だ。司法長官として素晴らしい仕事をしてくれるだろう」と評した。
ボンディ氏は、トランプ氏の側近として広く知られており、トランプ氏に対する刑事訴追に批判的な姿勢を示してきた。あるラジオ番組では、司法省の特別検察官ジャック・スミス氏や他の検察官について、「トランプ氏を標的にし、法制度を武器化することで自分たちの名を上げようとしている」と非難した。
またボンディ氏は、トランプ前政権の元スタッフが設立したシンクタンク「アメリカ・ファースト政策研究所」の議長も務めている。
今回の司法長官指名の発表を受け、共和党のトミー・タバービル上院議員は、「憲法を守るために長年戦ってきた、優秀な弁護士」とボンディ氏を称賛。さらに、「X(旧ツイッター)」で、上院が「迅速にボンディ氏を次期司法長官として承認することを期待している」と投稿した。
教育長官にマクマホン氏指名
トランプ次期大統領は、次期政権の教育長官にリンダ・マクマホン氏を指名する意向を発表した。マクマホン氏はワールド・レスリング・エンターテインメント(WWE)の共同創設者で元CEOであり、第1期トランプ政権には中小企業庁長官を務めた。この役職で、同氏は中小企業を支援し、起業家精神を促進する取り組みが高く評価された。
トランプ氏が教育長官にマクマホン氏を指名したのは、連邦政府の教育統制を分散化し、権限を州政府に戻すという同氏の公約に沿ったものだ。同氏は、マクマホン氏が全国的に学校の選択肢を広げ、教育機会を高める取り組みを主導してくれると確信していると表明している。このアプローチは、地方自治と保護者の関与を増やすことで米国の教育制度を改革するという、より広範な戦略を反映している。
マクマホン氏の指名は上院の承認を必要とする。承認されれば、現教育長官の後任となり、連邦の教育政策とプログラムを監督する責任を負うことになる。同氏の任命は、トランプ氏が2期目に向けて準備を進める中での一連の重要指名の一環であり、ビジネスと公務の両方で経験を積んだリーダーシップを重視していることを示している。
トランプ氏、商務長官にラトニック氏
トランプ次期大統領は、ハワード・ラトニック氏を次期商務長官に起用すると発表した。現在上院の承認を待っている。
億万長者であるハワード・ラトニック氏(63)はトランプ氏の政権移行チームの共同議長であり、ジャネット・イエレン財務長官の後任候補の一人と見られていた。同氏は投資大手カンター・フィッツジェラルドのCEO兼会長でもある。
商務省はトランプ氏の関税計画において重要な役割を果たすことになる。選挙運動中、トランプ氏は全ての輸入品に10~20%、中国からの輸入品にはと60~100%の関税を課す可能性が高いと述べていた。
トランプ次期大統領は、ラトニック氏は「関税と貿易の課題を主導し、さらに米通商代表部に対する直接的な責任を負うことになる」と述べた。
ルトニック氏は暗号通貨の支持者としても知られており、トランプ大統領が保健福祉長官に指名したロバート・F・ケネディ・ジュニア氏から称賛と支持を得ている。
運輸長官に元下院議員ショーン・ダフィー氏を指名
元下院議員のショーン・ダフィー氏が、トランプ次期大統領によって次期運輸長官に指名された。
2011年から2019年までウィスコンシン州第7選挙区の代表を務め、Fox Businessの共同司会者でもあり、下院金融サービス委員会の委員でもあった。
トランプ氏は政権移行アップデートでこのように述べた。「議会議員時代、ショーンは共和党会議で尊敬される発言者であり、財政責任、経済成長、地方開発を主張するコミュニケーターだった。議会の反対側からも尊敬されるショーンは、民主党と協力して、ミネソタ州史上最大の道路と橋の建設プロジェクトで、多くの立法上の障害を克服した」
トランプ氏は、ダフィー氏は「国家安全保障を損なうことなく、我が国の港湾やダムが我が国の経済に貢献することを確実にし、パイロットや航空管制官のDEIを廃止することで我が国の空を再び安全にするだろう」と述べた。
エネルギー長官にクリス・ライト氏を指名
トランプ氏は、クリス・ライト氏をエネルギー省長官に指名したことを発表した。この人事は上院の承認を待っている。
トランプ氏は11月16日、自身の「Truth Social」に投稿した声明で、「クリス・ライト氏が私の政権に加わり、アメリカ合衆国エネルギー長官、そして新設された国立エネルギー評議会のメンバーとして就任することを発表できることを嬉しく思う」と述べた。
クリス・ライト氏はリバティ・エナジーの創設者であり、CEOおよび取締役会の会長を務める。
トランプ氏は、ライト氏を化石燃料の採掘、特に水圧破砕法(フラッキング)の経験を持つ技術者であり、起業家としても知られていると紹介した。また、ライト氏は太陽光や原子力エネルギーの分野にも豊富な経験を持つ。
トランプ氏は声明で「クリス氏は、エネルギー源が豊富で、手頃で、信頼性がある場合にはすべてのエネルギー源を支持する」と述べた。
エネルギー省の使命は、「エネルギー、環境、および核の課題に対処するための革新的な科学技術ソリューションを通じて、アメリカの安全と繁栄を確保すること」にある。
現エネルギー長官はジェニファー・グランホルム氏であり、トランプ政権の初期にはリック・ペリー氏とダン・ブルイレット氏がその職を務めた。
エネルギー省は内務省や環境保護庁(EPA)と並び、トランプ氏が掲げるエネルギーコスト削減の公約を実現する上で中心的な役割を担う。
2021年の国民保守主義会議での発言で、ライト氏は、石油、石炭、ガスから再生可能エネルギーへの移行が「最も政治的に動機づけられた誤投資であり、エネルギーコストを引き上げ、信頼性を低下させる」と警告した。また、化石燃料からの移行の利点は、特に労働者階級や貧困層に対するエネルギーコストの増加と比較して慎重に評価されるべきだと主張している。
ライト氏は自らを「原子力発電の大ファン」と述べている。
退役軍人長官にダグ・コリンズ氏を指名
トランプ氏は、退役軍人省(VA)の長官に元下院議員のダグ・コリンズ氏を指名した。コリンズ氏は、トランプ氏の弁護士を務めた経験もあり、長年にわたりトランプ氏を支持してきた忠実な側近である。これは、新政権の主要ポジションに指名された人々の特徴のひとつとなっている。
トランプ氏は声明で「我々の勇敢な軍人たちをしっかりと支えなければならない。ダグは現役軍人、退役軍人、そして軍人家族の支援において素晴らしい擁護者となるだろう」と述べ、コリンズ氏に感謝の意を表明した。
コリンズ氏は、2013年から2021年までジョージア州第9選挙区の下院議員を務め、司法委員会のメンバーおよび共和党委員会の副議長を務めた。また、2019年に米上院選挙に出馬したが、民主党のラファエル・ウォーノック氏と共和党のケリー・ロフラー氏に敗れた。
同氏はイラク戦争中にイラクに派遣され、米空軍予備役のチャプレン(軍の牧師)としても活動した。ジョージア州ゲインズビル出身で、ジョージア州の下院議員も務めた。妻のリサさんと、息子のコペランさん、キャメロンさん、娘のジョーダンさんの3人の子どもがいる。
コリンズ氏はまた、アメリカ・ファースト政策研究所のジョージア支部の議長も務めており、同研究所はトランプ氏の大統領移行において重要な役割を果たしている。
厚生長官にケネディ氏を指名
トランプ次期大統領は14日、ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏を保健福祉省(HHS)の長官に起用すると発表した。上院の承認を待っている。
トランプ氏はXに「あまりにも長い間、アメリカ人は公衆衛生に関して欺瞞、誤報、偽情報を流してきた食品産業複合体と製薬会社に苦しめられてきた」と書き込んだ。保健福祉省は「圧倒的な健康危機」の一因となっている有害な化学物質、食品添加物、農薬、汚染物質、医薬品から米国民を守るために努力すると付け加えた。
ケネディ氏は保健医療分野に目を向けており、HHSは疾病予防管理センター(CDC)、食品医薬品局(FDA)、国立衛生研究所など13の機関を監督している。
ケネディは以前 Xで、「FDAによる公衆衛生への攻撃は終わろうとしている」と述べた。サイケデリックスやペプチド、幹細胞、未殺菌乳、ハイパーバリック療法、キレート化合物、イベルメクチン、ヒドロキシクロロキン、ビタミン、クリーンフード、日光浴、運動、健康食品など、製薬業界が特許を取得できない健康改善手段をFDAが抑圧していると批判した。
また、FDAの腐敗したシステムに関わっている職員には、「記録を保管し、荷物をまとめる準備をせよ」とメッセージを送った。
デュポンやモンサントなどの企業に異議を唱えた環境弁護士のケネディ氏は、元米国司法長官ロバート・F・ケネディ氏の息子であり、故ジョン・F・ケネディ大統領の甥である。当初は民主党から大統領選に出馬していたが、無所属での立候補に転じ、8月に選挙活動を中止してトランプ氏を支持すると表明した。
ケネディ氏はまた、ウェブサイトによると「有毒物質への曝露を排除することで子供の健康の流行を終わらせる」ために活動する非営利団体「チルドレンズ・ヘルス・ディフェンス」の創設者でもある。
司法長官にゲーツ氏を指名
トランプ氏は、アメリカ司法長官の候補として、共和党下院議員マット・ゲーツ氏を指名した。この人事は上院の承認を経て正式に決定する予定である。
トランプ氏は声明で「ゲーツ氏は優れた能力と粘り強さを持つ弁護士であり、司法省改革への強い姿勢が議会で際立っている」と述べ、「政府の不正利用を終わらせ、国境を守り、犯罪組織を解体し、司法省への信頼を回復させるだろう」と期待を寄せている。
42歳のゲーツ氏は2010年にフロリダ州議会に初当選し、2016年にはフロリダ州の連邦下院議員に選出された。政界入りして以来、ゲーツはトランプのポピュリスト的なスタイルに同調し、しばしば自党内を含む政治体制を批判してきた。
国家情報長官にギャバード氏を指名
トランプ氏は元連邦下院議員のタルシ・ギャバード氏を国家情報長官(DNI)の候補として指名し、上院の承認を待っている。
トランプ氏は声明で「ギャバード氏は20年以上にわたり、国と国民の自由のために尽力してきた」と投稿した。
43歳のギャバード氏は2013年から2021年までハワイ州の連邦下院議員を務めた。2020年の大統領選挙に民主党から出馬したが敗退し、2022年に無所属に転向。その後、複数の共和党候補を支持し、現在はトランプ氏の大統領移行チームの共同委員長を務めている。
国務長官に長年の対中強硬派、ルビオ氏を指名
トランプ次期大統領は、上院議員マルコ・ルビオ氏を国務長官に指名した。承認されれば、ルビオ氏はアメリカで初のラテン系国務長官となる見込みだ。
トランプ氏は11月13日の声明で「マルコ(ルビオ氏)は非常に尊敬される指導者であり、自由のために非常に力強い声を上げている。我が国の強力な支持者であり、同盟国にとっての信頼できる友人、そして敵に決して屈しない勇敢な戦士になるだろう」と評価した。
53歳のルビオ氏は、フロリダ州で約40年にわたる政治経験を持ち、1998年にウエストマイアミ市の市議会議員として政界に入った。その後、2000年にフロリダ州下院議員に選出され、2006年から2008年までは州下院議長も務めた。この間、州内各地を巡り市民の意見を集め、『フロリダの未来のための100の革新アイデア』という著書を発表。多くのアイデアが州法に採用された。
2010年には上院議員選挙に出馬し、49%の得票で当選。上院では中国共産党(中共)に対して厳しい姿勢をとってきた。今回のトランプ氏からの指名は、新政権が国際外交において強硬路線を取る可能性を示唆している。
国土安全保障長官にクリスティ・ノーム氏を指名
トランプ氏はサウスダコタ州知事のクリスティ・ノーム氏を国土安全保障長官に選んだ。
トランプ氏は発表の中で「クリスティは国境の安全確保に尽力してきた。彼女はバイデン政権下の国境問題に対応するため、州兵を最初にテキサス州に派遣した知事で、合計8回も支援を行った」と評価している。また、彼女は「国境対策責任者」トム・ホーマン氏と協力し、アメリカの国境と国民の安全を守る任務を担う。
2018年、サウスダコタ州初の女性知事となったノーム氏は、2022年の選挙で過去最多の票を得て再選された。副大統領候補には最終的に上院議員のJ・D・バンス氏が選ばれたが、ノーム氏も候補として注目を集めていた。
52歳で母親、祖母でもあるノーム氏は、不法移民に対して強い姿勢を示している。テキサス州の国境を「戦場」と表現し、ホーマン氏と同じく、国境を違法に越えた者は送還されるべきだと考えている。
国土安全保障省には、国境警備以外にもシークレットサービス、米沿岸警備隊、連邦緊急管理庁(FEMA)、サイバーインフラ安全庁などの機関が含まれており、広範な責任を持つ。
国防長官にFoxニュースの司会者ピート・ヘグセス氏を指名
トランプ氏はピート・ヘグセス氏を国防長官に指名し、上院承認を待っている。
ヘグセス氏は陸軍州兵の大尉としてイラクやアフガニスタンで従軍し、ブロンズスター勲章と戦闘歩兵章を受章した。
トランプ氏は「ピート(ヘグセス氏)は兵士と国のために戦う戦士であり、強く、賢く、アメリカ第一主義を心から信じている。ピートの下で米軍は再び偉大になり、アメリカは決して屈しない」と語り、その軍歴をアピールした。
プリンストン大学とハーバード大学を卒業したヘグセス氏は、ベストセラー書籍『The War on Warriors』の著者であり、左派の軍事政策に対して批判を展開している。また、フォックスニュースのホストとして8年間務めた。
CIA長官にジョン・ラトクリフ氏を指名
CIA長官にはジョン・ラトクリフ氏が指名された。
ラトクリフ氏は1期目のトランプ政権で国家情報長官を務め、トランプ氏の主要な情報顧問でもあった。2020年には国家安全保障勲章を受けた。
トランプ氏は、ラトクリフ氏は 「最高レベルの国家安全保障を確保しながら、すべてのアメリカ人の憲法上の権利のための大胆不敵な闘士 」になるだろうと述べた。
ラトクリフ氏はノートルダム大学とSMUロースクールを卒業後、以前は下院議員を務め、下院情報委員会と下院司法委員会のメンバーだった。
ラトクリフ氏はまた、中共が2020年米大統領選に介入しようとしたと発言し、後にコロナによるパンデミックの始まりについて、中国での研究室流出が「我々の情報、科学、常識によって信頼できる唯一の説明」だったと証言した。
国家安全保障担当大統領補佐官にマイク・ウォルツ氏を指名
退役ナショナルガード大佐であり、戦闘経験を持つグリーンベレーのマイク・ウォルツ下院議員が、トランプ次期大統領の国家安全保障担当大統領補佐官に就任する予定である。同氏はグリーンベレー出身で初めてアメリカ議会に選出された議員であり、トランプ氏の内閣に加わる3人目の退役軍人である。
通常は内閣級の役職ではないが、トランプ氏はウォルツ氏の役割を内閣の一員として格上げすると発表した。
11月5日、ウォルツ氏はフロリダ州東中部の第6選挙区で再選を果たした。ウォルツ氏は下院中国タスクフォースや議会台湾議員連盟のメンバーであり、下院軍事委員会の準備態勢小委員会委員長も務めた。また、下院外交委員会と常設情報特別委員会にも所属している。ブッシュ政権時代には軍事顧問を務め、国防政策ディレクターを務めていた。
ウォルツ氏は中共の人権侵害やスパイ活動の脅威を厳しく批判しており、台湾の自衛支援を強く求めている。
「マイクは私のアメリカ・ファーストの外交政策を強く支持し、強力な平和追求のチャンピオンになるだろう」とトランプ氏は述べた。
リー・ゼルディン氏、環境保護局(EPA)長官
ニューヨーク州元下院議員のリー・ゼルディン氏が、EPA長官に就任する予定であり、迅速な規制緩和に焦点を当てると見込まれている。
トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に「ゼルディン氏は、公正かつ迅速な規制緩和を通じてアメリカ企業の力を引き出すと同時に、世界最高水準の環境基準を維持する」と述べた。
ゼルディン氏は2010年にニューヨーク州上院議員に初当選し、2014年まで州議会で活動。その後、ニューヨーク州第1選挙区から連邦下院議員に選出され、2015年から2023年まで務めた。2022年にはニューヨーク州知事選に出馬し、接戦の末に現知事キャシー・ホウチュル氏に敗れた。
ゼルディン氏はワシントン州議会下院外交委員会と金融サービス委員会に所属し、共和党イスラエル議員連盟の共同議長も務めた。ゼルディン氏は陸軍の退役軍人で、イラク自由作戦中のイラク派遣を含め、4年間の現役勤務を経験している。現在も陸軍予備役中佐として勤務している。
国連大使にエリース・ステファニック氏を指名
米下院議員エリース・ステファニック氏は、トランプ氏から「非常に強く、賢明なアメリカ・ファーストの戦士」と評されている。
上院の承認を待ち、ハーバード大学卒の彼女は国連大使の役割を担う予定である。ステファニック氏は2014年に最年少の女性として連邦議会に当選し、以来5期を務めた。また、2021年にはトランプ氏の支持で共和党下院会議の議長に就任し、下院軍事委員会や情報常設特別委員会にも所属している。トランプ氏の2016年の当選以来、彼の忠実な支持者であり、2024年再選出馬の際も真っ先に支持を表明した。承認されれば、バイデン政権のリンダ・トーマス=グリーンフィールド氏に代わり、トランプ氏が任命する3人目の国連大使となる。
スージー・ワイルズ氏、ホワイトハウスの首席補佐官に指名
スージー・ワイルズ氏(67)は、ホワイトハウス首席補佐官に初めて就任する女性となる。トランプ氏のキャンペーンの共同議長を務め、特にフロリダ州での重要な勝利に貢献した実績が評価されている。
ワイルズ氏は2010年にはフロリダ州知事選挙でリック・スコット氏の選挙管理を担当し、全国的な注目を集めた。また現知事のロン・デサンティス氏の2018年選挙戦でも顧問として接戦を勝ち抜く役割を果たした。2015年にトランプ氏と出会い、2016年と2020年のフロリダ州選挙運動を指揮。2021年にはSave America PACのCEOに就任し、2024年のキャンペーンも共同議長を務めている。
ワイルズ氏は、トランプ氏の世界では縁の下の力持ちと評されており、政策の方向修正や郵便投票に関する見解の提案などで重要な役割を担っている。また、彼女は政府関係およびコミュニケーションコンサルティングで成功を収めており、世界的な戦略コンサルティング企業「マーキュリー・パブリック・アフェアーズ」の共同議長でもある。
J・D・バンス次期副大統領、史上最年少の副大統領
次期副大統領J・D・バンス氏(40歳)は、アメリカ史上最年少の副大統領となり、ミレニアル世代で初の副大統領となる。2023年に上院議員に就任する前は、海兵隊員としてイラク戦争に従軍した。オハイオ州立大学とイェール大学法学部を卒業後、ベンチャーキャピタル業界で働き、2016年にはベストセラー回顧録『Hillbilly Elegy』を執筆した。この著書では、オハイオ州の貧しい町で育ち、薬物依存と闘う母親に代わり祖母に育てられた自身の経験が綴られている。
バンス氏は上院で、銀行・住宅・都市問題委員会、商業・科学・運輸委員会、老齢問題特別委員会に所属し、保守的な投票記録を持つ。イスラエルへの支持とウクライナ戦争への批判を表明し、中国問題を重要視ししている。ウクライナ戦争への批判的な立場も取っている。
妻のウシャ・チルクリ・バンス氏は企業弁護士であり、副大統領の配偶者として初のヒンドゥー教徒であり、初の有色人種の「セカンドレディ」となる。夫妻には、7歳のイワン、4歳のヴィヴェーク、2歳のミラベルの3人の子供がいる。
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