最近、中国河南省にある「高級裁判所」の外壁に罵りの言葉などを落書きする事件が起きた。
「狗官(悪徳役人、汚職役人)」
「狼狽為奸(ぐるになって悪事を働く)」
「官官相護(官僚同士が互いに庇いあう)」
「貪贓枉法(法を踏みにじり腐敗を行う)」
「不得好死(ロクな死に方しないぞ)」
上記の罵りの言葉を落書きしたのは何年も銀行預金を不当に凍結された同省銀行の預金者たちであり、「落書事件」に関わった複数の市民たちは、落書後に消息を絶ったことがわかった。
同じく預金凍結の被害に遭った市民の劉さんは4日、「仲間が裁判所の外壁に落書をするようになったのは、私たちが救済される道を全て河南省当局によって塞がれたためで、もうこれ以上どうしたらいいかわからないからだ」と明かす。
劉さんたちの銀行預金が、不当に凍結されてから2年以上経つ。
「河南省政府は裁判所と結託して、預金の凍結解除を求める預金者の仲間3人を数百日間に及び、不当に拘束した。他の600人以上の預金者たちは、5つの村の銀行に対して訴訟を起こしているが、受け付けてくれさえしない。そうして、仲間は投獄されるリスクを承知で、裁判所の外壁に落書をした」という。
劉さんによれば、「預金を凍結された仲間たちのなかには、そのせいで会社が破産したり、ローンを返せなかったり、病気になっても治療費がないなど、苦しい生活をしている」という。
ある日突然、預金を引き出せなくなった……
今から2年以上前の2022年4月、河南省と安徽省の複数の銀行は、顧客の全ての預金を凍結した。預金者が受けた被害の規模は400億元(約8172億円)に上る。影響は約40万人に及んだ。
落書画像にあった預金者の訴えの言葉「『補償する』は真っ赤のウソだった」にあるように、現地政府は「問題を解決する」というが、実際には全く解決していない。(補償されたのはごくわずかで、ほとんどが、様々な理由をつけて補償を行わないのが実情)
預金の返還を求めて、これまでにもたびたび預金者たちは集まって抗議活動を行ってきたが、これに対して現地当局は、抗議者への暴力を含む逮捕や抗議活動の妨害など、容赦ない鎮圧を行ってきた。
預金者らによる抗議や彼らに対する鎮圧などの話題は、中国のネット上で検閲しており、外部がその「実態」について知ることは極めて困難な状況だ。
(「銀行は我われの預金を返せ」などと書かれた複数の横断幕を掲げて抗議する預金者たち、河南省、2023年4月2日)
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