社会問題 「借金漬けで、治療するお金がなくなった」

失踪した我が子を9年間探し続けた母親 ガンで死去=中国

2024/08/27
更新: 2024/08/27

失踪した我が子を9年間探し続けた母親・利雪梅さん(広東省出身)が、がんで死去し、今月23日に埋葬されたことがわかった。

利さんが亡くなる前、最後の力を振り絞って書き残した遺書には、「子供を探してほしい」の文字があったという。

利さんの家族は「いつか、子供が見つかったら、彼女の墓前に連れて行く」と話す。

利さんの子供である劉家柱くん(当時5歳、2010年8月26日生まれ)は9年前に失踪し、今も見つかっていない。利さんはたびたびSNSを通じて家柱くんにこう呼び掛けてきた、「戻ってきてほしい……」

生前SNSに投稿した自撮り動画のなかには、病院着姿の利さんの姿があった。「家柱、お母さんはもうあなたに会えないかもしれない、ガンが転移した、お母さんはいますごく怖い。本当にごめんなさいね。あなたには強く生きていてほしい、お母さんの一番の望みはあなたにもう一度会うこと」と、この母親は語っていた。

去年12月も、末期の肺がんで闘病中の利さんは、SNSに家柱くんにあてた自撮り動画を投稿している。

(以下一部邦訳)

「お母さんは末期の肺がんになって、がん細胞は脳にまで転移したみたい。よく鼻血が出るんだ、昨日は咳をするとき血を吐いたよ。私の願いは一つだけ、あなたに会いたい」

「もう長くは生きられないかもしれない。お母さんね、借金を返すお金もなくて、薬を買うお金もなくなったから薬を止めなければならない」

「我が子よ、早く家に戻ってきてほしい。最後にあなたに一目会いたい」

利さんの投稿を見たネットユーザーは心を痛め、「失踪した子はすでに他人の体の一部になっているかも」と臓器狩りの被害に遭ったのではないかと懸念する人も少なくない。

なかには「一発で失踪者を見つけ出す裏技」を伝授する者もいる。

その「裏技」とは、「子供が家出をして反共産党組織に加わった」と110番通報することだそうだ。

「そうすれば、その日のうちに見つけ出してくれる、生きていればの話だけど――」

 

 

監視大国の中国で、なぜ見つからないのか

ある日突然、理由もなく「人が消える」。それが今の中国の現実である。

近年、中国のSNS上には、失踪した人に関する情報の提供を呼びかける通知があふれている。各地の街中には、「尋ね人」の写真つき看板を手に持ち、泣きながら地面にひざまずいて、通行人に情報提供を求める失踪者家族の姿がどこに行っても目に入るのだ。

失踪者は、子供に限らず、中高生や大学生。さらには働き盛りの青年から壮年期の世代まで非常に幅がある。

「中国は、防犯カメラで埋め尽くされた監視大国ではないか。それなのに、なぜ我が子は見つからないのか?」と、いぶかしがる声が、家族の悲痛な叫びとともに広がっている。

中国の公式データによると「国内における毎年の失踪者は百万人を超える」という。もちろん、これは中国共産党(中共)政府による公式データの数字である。「百万人を超える」というが、一体どこまで「超える」のかは想像もつかない。

通常の場合、反体制派の人物や民主活動家、あるいは地方政府の不正を中央に訴える陳情者であれば、どこにいようと中国の警察は即時に察知し、居場所を特定できる。

つまり、捜査当局が本気であれば、監視カメラが無数に設置され、市民の通信を完全に傍受している監視大国の中国で、1人の失踪者を探し出すのは決して難しいことではない。

しかし、現実には「見つからない」。いや、「本気で見つけ出そうとしていない」と言った方が妥当かもしれない。

というのは、本来、失踪児童をまっ先に捜索し、誘拐犯を逮捕するべき警察が、なぜか消極的で、ほとんど動かず、交通違反の「罰金稼ぎ」にフル活用される監視カメラが、失踪者の捜索には全く使用されていないからだ。

監視大国の中国で、なぜこの子供たちが見つからないのか。

アメリカの中国問題専門家ゴードン・チャン(Gordon Chang)氏は「それは中共の暗黙の了解を得ているからだ」と指摘する。

つまり、子供をふくむ失踪者が大量に生じる現状について、中共当局が関与、あるいは知りながら黙認していることになる。

中共の下にある全ての組織や機関が、警察もふくめて、そもそも共犯者もしくは見て見ぬふりをするというかたちの協力者であるのだ。
 

我が子に「縄」をかけて繋ぎとめる親

幼い子が勝手にどこかへ行かないよう、そしてさらわれないよう。我が子に「縄」をかけて繋ぎとめておくシーンは中国ではよく見かける光景だ。

リアルな中国の情報を発信するXアカウント「海外爆料」によれば、「中国では毎日約2500人の青少年が行方不明になっているという統計もある」という。

誰がどう統計したかわからないが、中共当局の公表数字をはるかに上回る人が失踪しているのは間違いない。

(我が子に「縄」をかけて繋ぎとめる露天商の親)

 

(白昼堂々、ショッピングモールで幼い子をさらおうとした少年の人身売買業者。幸いなことに子供の親は間一髪で発見して阻止したケース①)

 

(白昼堂々、ショッピングモールで幼い子をさらおうとした少年の人身売買業者。幸いなことに子供の親は間一髪で発見して阻止したケース②)

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!