トランプ氏、マスク氏とXで対談 米連邦支出削減に関与の可能性も

2024/08/13
更新: 2024/08/13

米大統領選の共和党候補で、前大統領のドナルド・トランプ氏と実業家のイーロン・マスク氏が12日に、SNS「X(旧Twitter)」で対談した。対談の中で、トランプ氏は、マスク氏を政府支出効率化委員会(potential government efficiency commission)の委員長に起用する可能性を示唆した。

マスク氏は、インフレと政府支出について「国が身の丈(財政状況)にあった生活をする」ための委員会の設置を提案し、連邦政府の支出超過がインフレの主因であるとの考えを示した。

「政府支出を見直し、おそらく政府支出効率化委員会のようなものを設置する必要があることに同意しますか?」とマスク氏がトランプ氏に尋ねると、トランプ氏は、マスク氏が政府支出効率化委員会のトップとして「非常に適任である」と述べた。

それに対し、マスク氏は、この提案が前進すれば「喜んで協力する」と答え、トランプ氏は、高止まりする物価について「価格を下げなければならない」と述べた。

マスク氏は、インフレは課税の一種であり、「政府支出を是正できれば、人々の生活を向上させることができる」と信じているとの見方を示している。

トランプ氏も、政府の支出超過を解決する必要があることに同意し、「無駄遣いは信じられない」と述べた。

注目の対談

これらの対話はX の音声対話サービス「スペース」を通じて両氏の対談が実現した。トランプ氏は同日、3年7か月ぶりにXのアカウントに復帰した。

開始前に「DDoS(ディードス)攻撃」(大量のデータを送り付け通信障害を引き起こす)を受けたため、対談は予定より40分余り遅れた。対談は2時間に及び、130万人超が視聴した。

トランプ氏とマスク氏は、トランプ氏銃撃事件や経済、エネルギー価格、世界における米国の地位などについて意見を交わした。

マスク氏は 7月のトランプ氏銃撃事件後、トランプ氏への支持を表明している。

エネルギー政策について、マスク氏は「私の考えでは、我々は時間をかけて持続可能なエネルギー経済に移行したいと考えている」と述べた。

またマスク氏は、「バランスを考えれば、遅らせるよりも早く進めた方がいいだろう」とした上で、「石油業界を誹謗中傷することなく、また短期的に苦難をもたらすことなく移行する。それは実現できると思う」と述べた。

エネルギー価格

一方、トランプ氏は、エネルギー価格の上昇とその財政的影響に目を向けた。

トランプ氏は、経済への刺激策について「エネルギー価格を引き下げなければならない」と語り、「中国と競争するためには大量のエネルギーを生産しなければならない」と強調した。

マスク氏は、石油・ガス産業は米国経済にとって不可欠だと述べ、「経済を支えるために必要なエネルギーを供給するために、石油・ガス産業やそこで懸命に働いてきた人々を中傷すべきではないと思う」とした。

その上で、「もし今、石油やガスの使用を止めるとしたら、我々はみな飢え、経済は崩壊するだろう」との見方を示した。

また、意見の相違も見られた。原発について、トランプ氏は東京電力福島第1原発事故やチェルノブイリ原発事故を引き合いに、否定的な見方を示した。それに対して、マスク氏は原発推進の立場を表明し、「最も安全な発電方法の一つ」と述べた。

政府支出削減

トランプ氏はまた、2020年初頭に新型コロナウイルスのパンデミックが到来する前に、規制緩和を優先させるというトランプ前政権の取り組みについても語った。

「我々は不必要なものを大幅に削減した」と述べ、パンデミックが起きていなかったら「債務削減を始める予定だった。さらに減税するつもりだった」と付け加えた。

トランプ氏は以前、大統領専用機「エアフォースワン」の費用が高すぎると主張しており、政府支出削減のため米航空宇宙大手ボーイングと値下げ交渉をすべきだと語っていた。

トランプ氏は、バイデン政権の救済支出により「数兆ドル」の債務が赤字に加わり、インフレと米国経済にさらなる影響を与えたと示唆している。

「現代に合った古き良きジャーナリズム」を掲げる報道記者。表現の自由や若者のトランスジェンダー運動など、さまざまなテーマで執筆している。エポックタイムズ入社前は、オハイオ州の新聞社で20年以上にわたり記者としての経験を積み、数冊の本を出版した。ケント州立大学ジャーナリズム科卒。
エポックタイムズの政治記者