中共、人権問題めぐる議員交流に圧力 IPACが非難

2024/08/09
更新: 2024/08/11

中国共産党(中共)政権による人権侵害などの悪質な行為への対抗に重点を置く40か国の国会議員らで構成する対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)は、7月末に台北で年次会議を開催した。中国共産党が一部の議員に圧力をかけ、欠席を求めたことが各国から非難された。

24か国から49人のメンバーが会議に出席し、台湾を訪問した外国国会議員代表団としては最大規模となった。サミット開催前に、IPACは中共が台湾サミット出席者に対して圧力をかけたことを明らかにした。サミットに参加した一部の議員は、その後、母国で中共に攻撃されている。

IPACは6日の声明で、サミットの前後に中国政府から不当な圧力を受け、基本的な自由を制限されそうになった政治家として、ソロモン諸島のピーター・ケニロレア議員、欧州議会議員のミリアム・レックスマン氏、ルーマニア国会議員のカタリン・テニタ氏、北マケドニア国会議員のファトミル・ビティキ氏、ボリビア上院議員のセンタ・レク・ロペス氏を挙げている。

「ここ数日、中国(中共)がIPAC 2024サミットの代表者を標的に行った政治的干渉と脅迫の組織的プログラムは、民主的に選出された議員間の交流と対話を制限することを目的とした、不器用かつ公然、強制的な一連の行動」だとIPACは付け加えた。

中共は台湾を自国の領土の一部と主張しているが、これまで一度も台湾を統治したことがない。中共政権は、台湾政府関係者との交流を行う外国政府関係者や外交官を許容していない。

台湾を国家として認め、正式な外交関係を持っているのは、ハイチ、グアテマラ、パラグアイ、パラオ、エスワティニなど12か国のみである。

IPACは、「中国や他のどの国も、国際法や世界の繁栄についての正当な議論を行う外国の議員を脅迫したり、民主的に選ばれた議員の移動の自由を制限しようとしたりする権利はない」と述べている。

また、「我々は、中国(中共)による嘆かわしい脅迫に対して、同僚たちと共に断固として立ち向かい、議員の自由を守るために政府が全力を尽くすことを求める。この自由こそが、我々の民主主義の健全性に不可欠である」と強調した。

中国共産党の強制行動

ソロモン諸島政府は7月31日、ピーター・ケニロレア議員がサミットに参加したことを非難する声明を発表した。南太平洋のこの国は、この訪問が「ソロモン諸島と中国(中共)の関係を損なう試み」であると主張し、台湾に対する中共の領有権主張を改めて表明した。

ケニロレア氏は、8月3日に地元紙ソロモンスターに掲載された声明で、「私が24か国の志を同じくする議員や上院議員たちと共に参加したサミットがソロモン諸島と中国に害を与えようとしているとする政府の声明を遺憾に思う」と述べた。

「ソロモン諸島を害するどころか、このサミットでは、IPACネットワークの一員として、台湾海峡の関係に対する一方的な変更がもたらす危険性について、各国の議会で引き続きメッセージを広める方法が議論された」

ソロモン諸島はかつて台湾と外交関係を持っていたが、2019年に当時のマナセ・ソガバレ政権が台湾と断交し、中国と外交関係を樹立した。

カナダの独立議員ケビン・ヴオン氏は、サミットに参加し、X(旧Twitter)でケニロレア氏への連帯を表明した。同氏は8月6日に、2人の写真を投稿し、「民主主義国家として、我々は自由な移動と仕事に干渉しようとする者に対して#StandTogether(共に立ち向かう)必要がある」と書き込んだ。

7月31日、中国大使館はテニタ議員が所属している再生ルーマニア欧州プロジェクト(REPER)党に書簡を送付した。IPACが提供した書簡の翻訳によれば、中国大使館はテニタ氏の行動を「具体的に抑制する措置を取るよう」党の指導部に求めた。

また、書簡では「台湾との公式な交流や接触を一切行わないよう」指導部に指示し、公式な交流は「中国とルーマニアの二国間関係の発展にとって好ましくない」と主張した。

テニタ氏は8月6日、Xに掲載した声明で、台湾との関与を堅持する考えを示し、その立場が「欧州連合(EU)の立場と完全に一致している」と述べた。

「私は、台湾における自治体や当局と、公共サービスの提供や持続可能な都市開発などの分野で、長期的な協力関係を築くことを目指している」とテニタ氏は書いた。

「私は、ルーマニアにとって台北とブカレストに二国間の貿易・文化代表部を設置し、商業活動へのアクセスとその実施条件を改善することが利益になると考えている」と付け加えた。

中共の強制的な行動はスウェーデンにも及んでいる。

スウェーデンの都市ヨーテボリの市議会議員であり、キリスト教民主党(KD)のメンバーであるエリサベト・ラン氏も、台北サミットに参加した。

スウェーデンのエクスプレス紙が8月6日に報じたところによると、現地の中国総領事館はKDの指導者にメールを送り、党員の行動を「調整する」ための会合を要請していた。

台湾在住のジャーナリスト。米国、中国、台湾のニュースを担当。台湾の国立清華大学で材料工学の修士号を取得。