国民の命と財産を犠牲に、中共の「新質生産力」の真相とは?

2024/07/18
更新: 2024/07/18

今年6月、アメリカのニューイングランドで休暇を過ごし、ニューヨークのクイーンズ区フラッシングに滞在した。フラッシングのメインストリート北端近くの銀行の窓に、かつて中国人労働者がアメリカの鉄道を建設した歴史的な写真が展示されていた。これはスタンフォード大学の学者の研究に基づくものだ。その写真を見ていると、アメリカ人の中年男性が写真を見ながら感慨深げにため息をついていた。

彼と目が合ったとき、私は礼儀として、「ああ、百年以上前のことですね。その時の中国人労働者は本当に大変だったと言われていますね」と話しかけた。彼は「そうだ、彼らの中国人労働者の扱い方はひどく、私たちアイルランド人にも同じようにひどい扱い方をした」と答えた。

私は驚いて「アイルランド人も?」と聞いた。彼は「鉄道を建設するために、中国人労働者は西から東へ、アイルランド系労働者は東から西へ進み、最終的にユタ州で合流した」と説明した。中国人労働者は低賃金で過酷な条件下で働き、多くの死傷者を出した。アイルランド人も同様で、低賃金で過酷な条件下で働き、多くの死傷者を出した。彼自身もアイルランド系の子孫であると言った。

アメリカ労働省のウェブサイトには、「華工紀念堂」の項目があり、そこで中国人労働者がアメリカの鉄道建設に貢献したことが記されている。1865年から1869年にかけて、1万2千人の中国人移民がアメリカ大陸横断鉄道の西側部分を建設し、アメリカの経済繁栄の基礎を築いた。

当時のアメリカは内戦が終わり、国全体の再建のために鉄道を建設することは重要であった。多くの中国人労働者が過酷な条件下で命を落とし、彼らの貢献はアメリカの発展に大きく寄与した。

150年前の話だが、中国人労働者の貢献はアメリカの経済繁栄の基礎を築いた。しかし、驚くべきことに、150年後の現在でも人命を犠牲にして経済を発展させる例が見られる。それが中国共産党(中共)当局の「新質生産力」である。

最近、上海市政府は無人運転タクシーのサービスを許可した。これにより、何百万ものタクシー運転手やライドシェアドライバーの生計が脅かされることになった。無人運転技術の電動車両は中共の「新質生産力」の一環であり、中共はこれを推進するために国民の命や財産を犠牲にしている。

西側諸国では電動車両や無人運転車両の安全性が確保されていない状態での導入は慎重だ。企業は事故が発生すれば巨額の賠償を求められるため、慎重な姿勢をとっている。しかし、中国では事故が頻発しているにもかかわらず、これらの技術を強行的に推進している。

中国は現在、無人運転の「実験場」となっており、これは中国国民にとって悲劇である。中共の「新質生産力」は、国民の命と財産を犠牲にして成り立っており、その結果は中共のGDP成長に寄与するだけである。

百度(バイドゥ)が展開する無人運転タクシー「Robotax」は、現在、中国の複数の都市で試験運用されているが、その技術はまだ成熟しておらず、遠隔操作で運転している。これは中共の急功近利(目先の成功や利益を得ようと焦る)の姿勢を示している。

アメリカでも最近になってようやく自動運転車のテストが行われているが、安全運転員を同乗させることが義務付けられている。中共は技術的に遅れており、アメリカの技術を追随する形で進んでいる。

中共の「新質生産力」は国民の命と財産を犠牲にして推進されており、これが中国経済の大きな負担となっている。中国の電動車市場は成長しているが、依然として多くの問題を抱えている。

アメリカのコンサルティング会社、アリックスパートナーズによれば、中国の電動車ブランドは2030年までに現在の137から19に減少すると予測されている。これは中共の「新質生産力」が破綻の始まりを迎えていることを示している。

謝田
米国サウスカロライナ大学エイキン校教授