「交流促進は甘い言葉、裏では反米を煽動」 米駐中大使が中共矛盾を非難

2024/06/29
更新: 2024/06/29

昨年11月に、アメリカのバイデン大統領と中共党首・習近平がサンフランシスコで対談を行い、民間交流の促進と米中関係の改善で一致した。

しかし、アメリカのバーンズ駐中国大使は、最近のインタビューで、中国共産党(中共)の言葉と行動は一致していないと非難した。同氏は表向きは両国の民間交流を推進すると言いつつ、裏ではアメリカの外交活動を邪魔する動きを強めていると指摘している。

6月25日には、バーンズ大使がウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで、中共はアメリカの主催するイベントに参加する中国人に対して、尋問や脅迫を行い、アメリカ大使館のソーシャルメディアへの投稿に対する検閲を強化し、反米感情を煽っていると述べた。

バーンズ氏は、中共は「両国関係の再建を支持していると言っているが、実際にはこの目標達成を不可能にするために、背後では別の抜本的な措置を講じている」と述べている。

中国の歴史を専門とするアメリカ在住の作家、遇羅文氏は次のように述べた。

「中共は、実際にはアメリカとの良好な関係を求めていない。アメリカとの関係改善を言うのは、商取引やアメリカ人観光客を引き寄せて旅行業界の収益を上げるために過ぎない。これは現実には不可能なことだ」

中共の攻撃的な外交政策、厳格な検閲制度、そして昨年改正された反スパイ法による外国企業のスタッフへの突然の嫌がらせ行為は、多くの外資と外国人を恐れさせ、中国からの撤退を促している。

最近、吉林省の公園でアメリカ人教師4人が刺傷される事件が発生した。この件に関して、バーンズ大使は中共に対して不満を表明し、犯行の動機についての情報が不足していると批判している。

バーンズ大使は、昨年11月以降、中共が、アメリカ大使館が主催する公開イベントへの中国国民の参加を妨害した事件が61件あったと報告した。その中には尋問されたり、夜間に厳しい質問を受けたりする参加者もいた。

また、アメリカ大使館がコンサートを開くために施設を借りた際に、説明もなしに突然停電が起こり、イベントが中断された件にも言及した。バーンズ大使は、「これは自信のある政府の振る舞いとは思えない」と非難した。

遇羅文氏は次のように述べている。

「バーンズ大使が現在述べていることは、彼の立場が変わったことを示している。かつては中共との良好な関係を築きたいと考えていたが、現在はそれが不可能であると認識している。彼が中共の行動を指摘するは、彼の考え方の変化を裏付ける」

68歳のバーンズ大使は、2022年4月にアメリカの駐中国大使に就任した。今回は大使がその職に就いてから初めて、中共に対して公然と厳しい批判をしたことになる。

カナダの中国系作家である盛雪氏は、「バーンズ大使も、礼儀を尽くした丁寧な態度だけでは、中共には影響を与えられないと理解したのだろう。中共は力と権力を尊重する集団だ。直接的で断固たる態度を示すことによって、時に彼らを退かせることができる」と述べた。

中国に2年以上滞在しているバーンズ大使は、中共がアメリカを繰り返し批判し、社会や歴史、政策に関する情報を歪めていることについて懸念を表明した。中共が支配するインターネット空間では、反米感情が広く浸透している。

盛雪氏は、以下のように述べている。

「中共は創設以来、アメリカを主要な敵と見なしている。この姿勢は、共産党の根本的な性質と、専制的な独裁政治によって形成されている。アメリカは、世界の自由民主主義を象徴し、その灯台として機能している。そのため、中共とアメリカの対立は変わらないのだ」

盛雪氏はまた、アメリカはかつて中共に変化を促すことができると信じていたため、経済貿易の交流を深め、中国を世界貿易機関(WTO)に加盟させ、最恵国待遇を与えたと指摘している。

盛雪氏はさらに次のように述べている。

「しかし、今やアメリカも認識している。中共の根本的な性質を変えることは不可能であり、中国を専制的な独裁から解き放ち、民主主義へと移行させることは叶わなかった。それどころか、中共の統制力や国際社会での影響力、発言力をさらに強化してしまったのだ。中共はこの事実を熟知しており、機会を見つければ、アメリカに対して行動を起こすことだろう」

バーンズ氏によると、過去3年間、中共は、アメリカ大使館に中国人スタッフを雇用することを認めておらず、その結果、大使館はビザ申請などの長期にわたる手続きを処理するための人手が不足している。また、中共は、アメリカの大学が、中国で行う広報活動に多くの制約を課し、中国の学生たちが、アメリカの大学で学ぶことを難しくしているとも述べている。

さらにバーンズ氏は、非公開の会議で中国側に繰り返し問題提起を行い、中共の言葉と行動が一致していないことを指摘した。彼は「何も変わっておらず、解決されたことは何一つない」と述べた。

バーンズ氏は最近フィナンシャル・タイムズのインタビューにおいて、中共の現在の弾圧活動が、過去数十年間で最も厳しくなっていると指摘した。

「私たちは、北京との間で思想の戦いに巻き込まれているのだ。それは、私たちの民主主義の理念と彼らの権威主義的な思想との対立だ。この闘争は毎日続いており、将来に向けて私たちは理想を守るために奮闘している」