中国発SHEINのロンドン上場 人権団体が阻止訴え

2024/06/28
更新: 2024/06/28

英国ロンドンの裁判所は6月27日、中国新疆での強制労働によって生産されたとされる綿花の輸入について、英国当局が再調査を行うべきだとの判決を下した。このニュースは、中国発の格安アパレル通販サイトSHEIN(シーイン)が強制労働などの問題で圧力を受け、英国での初の公開株式上場を準備している最中で伝えられた。

強制労働疑惑に対する法的勝利

世界ウイグル会議は、中国から逃れた亡命ウイグル族が成り立つ国際組織で、英国の「国家犯罪対策庁」(NCA)が刑事調査の開始を拒否した後、NCAに対して法的措置を取った。

人権擁護団体とアメリカ政府は、中国共産党(中共)政府が新疆ウイグル自治区でウイグル族や他のイスラム教少数民族に対して広範な虐待を行っていると非難している。中国で生産される綿花の大部分は新疆産だ。

中共政府はこれらの虐待の存在を強く否定しており、ロンドンの中国大使館報道官は、新疆での「強制労働」という指摘は「反中勢力」による「中傷」に過ぎないと述べた。

昨年、ロンドン高等法院の判事は「拘留者や刑務所労働者、強制労働者が綿花を生産している明確で議論の余地のない証拠が存在する」と裁定したが、世界ウイグル会議の訴訟は、告発された犯罪行為と特定の製品の間に明確なつながりがなければならないという理由で却下された。

しかし、上訴裁判所はこの裁定を覆し、「調査を行うかどうかの問題はNCAに再考されるべきだ」と判決を下した。

世界ウイグル会議英国所長のラヒマ・マフムト氏は、この裁定を「大きな勝利であり道徳的な勝利」と形容した。

マフムト氏は声明で「この勝利は、拷問や強制労働に苦しむウイグル人や他のトルコ系民族に正義をもたらした」と述べた。

NCA報道官は、「控訴裁判所の判決を尊重し、次のステップを検討している」と述べた。

SHEINのロンドン上場に対する圧力

前日、英国に拠点を置く人権団体「Stop Uyghur Genocide(ウイグル族の虐殺を止めろ)」は、SHEINの労働行為に懸念を抱き、SHEINのロンドン上場を阻止するための法的措置を講じたと発表した。

ロイターによると、人権問題を手掛ける法律事務所Leigh Dayは英国金融行動監視機構(FCA)に書簡を送り、SHEINのロンドン上場のための試みを拒否するよう求めた。

「ウイグル族の虐殺を止めろ」はFCAへの書簡で、SHEINのサプライチェーンにおける労働問題への懸念から、米国証券取引委員会がSHEINの米国証券取引所への上場を推奨しなかったことを強調した。

米国での上場が阻止された後、SHEINが英国のロンドン証券取引所に移籍するというニュースが飛び込んできた。 英国の政治家や人権活動家は懐疑と怒りを表明している。

英国の貴族や政治家は、SHEINが強制労働を停止し、英国の規制当局とデータを共有し、税制の抜け穴を悪用せず、中共との関係を断ち切ることを約束しない限り、ロンドン証券取引所に上場することを許可すべきではないと呼びかけている。

SHEINは27日の声明で、「SHEINは強制労働に対して不寛容の方針を取っており、人権を尊重することを約束している」と述べた。

「我々はサプライチェーン全体の可視性を真剣に受け止めており、サプライヤーに承認された地域からのみ綿花を調達するよう求めている」

ロイターは情報筋の話を引用し、6月に英市場規制当局に秘密裏に書類を提出し、年内のロンドン上場に向けた手続きを開始したと報じていた。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの英国支部は、SHEINの労働と人権基準が「疑わしい」ため、同社のロンドンでの新規株式公開(IPO)は恥をかく可能性があると述べた。

ラヒマ・マフムト氏はLeigh Dayのプレスリリースで、「SHEINがロンドン証券取引所に上場する可能性があることに深い懸念を抱いている」と述べた。

同氏は、「ウイグル族の虐殺を止めろ」が国家安全保障や人権の専門家の報告書に注目していることを強調した。これらの報告書によれば、「SHEINのような(中共)政府と関連する企業は、人権侵害に関与している可能性があり、現代の奴隷制度や企業や市民に対する道義的および安全保障上のリスクをもたらす可能性がある」

同時に、ウイグル人権弁護士団の議長であるマイケル・ポラック弁護士は、Leigh Dayのプレスリリースで、「FCAの原則はすべての企業に対して誠実な経営を要求している。もしある企業がウイグル地域の奴隷労働に直接関与していると疑われる場合、この重要な原則に違反する可能性がある。FCAに対し、(SHEINが)英国で株式公開されるべきかどうかを判断する前に我々がこれから提供する専門家による証拠を検討するよう要請する予定だ」と述べた。

「ウイグル族の虐殺を止めろ」は、FCAに対してその主張を支持する詳細な資料を提出する準備をしている。

 

李言