中国 蜜月は長く続かない中ロ

G7が中国共産党とロシア支援銀行を糾弾 制裁リスク増大についての分析

2024/06/22
更新: 2024/06/22

G7の最新声明では、中国共産党(中共)に対して異例の28回の言及があり、その表現は非常に厳しいものであった。これまでのG7サミットとは異なり、中共に配慮せず、産業の過剰生産、ロシアのウクライナ侵攻、南シナ海問題など、重要なテーマで中共を頻繁に取り上げ、さらには中共の首脳である習近平の名前も直接挙げている。

6月14日のG7声明で、ウクライナ侵攻における中共のロシア支持を指摘し、「私たちは法的枠組みに基づき、中国や他国がロシアの戦争努力を支援する行為に対策を続ける。これにはロシアの防衛産業へ物資供給を支援する金融機関や中国企業も含まれる」と警告した。

G7は、ロシアに対し、西側の輸出禁止の回避を支援する中国企業に、制裁や罰則を含む措置を取ると宣言した。「私たちの金融システムへの不正アクセスを防ぎ、制限する措置を施行する」とも述べた。

6月17日、ワシントン訪問中のNATOのジェンス・ストルテンベルグ事務総長はウィルソンセンターでの演説で、中国がロシアへの軍事技術支援を続ける場合、NATO加盟国は中国に対して代償を求めると警告した。

ストルテンベルグ事務総長は次のように述べた。「昨年、ロシアの弱電電子製品の90%が中国からの輸入品で、これらはミサイル、戦車、航空機の製造に利用されている。さらに、中国はロシアに対し進化した衛星機能や画像情報の提供を試みている」

ストルテンベルグ氏は、習近平がヨーロッパ紛争を悪化させていると指摘した。「習主席は表面上の紛争における自らの重要な役割を隠しながら、制裁を避けつつ貿易を続けようとしている。実際に中国は、第二次世界大戦後のヨーロッパで発生した、最大の武装衝突の一つを助長している」

アメリカの情報戦略研究所の経済学者である李恆青氏は6月17日に大紀元に対して、最近のG7サミットの声明が中共に焦点を当てていることを強調し、これが以前のサミットと異なる重要な変化であると述べた。

李恆青氏によれば、「これまで欧米は経済、外交、政治面で中国との関係を重視し、直接批判を避けてきたが、今回のG7では、中共がロシア支援を続ける限り厳しい措置を取るという明確なメッセージが示された」という。

台湾の経済学者である呉嘉隆氏が新唐人テレビの番組で行った分析によると、アメリカは、ロシアへの制裁を段階的に強化し、特に金融システムへ制裁を拡大している。この制裁はロシアの銀行及び取引関係国にも影響を及ぼし、中共への明確なメッセージとなる。G7サミットとその後のスイスでのロシア・ウクライナ戦争に関する国際平和会議は、戦後の世界秩序の再構築を目指している。

呉氏によれば、「アメリカは、ロシアと中国共産党に対し統一した方針を採っている。世界を一つのチェスボードと見なし、グローバルな視点でロシア・ウクライナ戦争に対応している。アメリカの関心はロシアだけでなく、中国も含まれ、G7の声明には中共に関する多くの項目が含まれている」と述べている。

アメリカ、ロシアへの制裁をさらに強化、ロシア中央銀行が人民元と連携を発表

6月12日、G7サミットの前夜、アメリカはロシアに対する制裁を大幅に強化した。アメリカ財務省は、ロシアやその他の地域に関連する300名以上の個人や企業を新たに制裁リストに追加した。アジア、ヨーロッパ、アフリカの関係者も含まれている。特に、香港の企業がロシアに半導体を輸出した事例に焦点を当て、約1億ドルの支援物資が関連していると報じた。

さらに、アメリカ財務省は、ロシアの金融インフラの重要部分に対する制裁を発表し、モスクワ証券取引所やその決済・清算を担う関連機関が対象となった。

これに応じて、13日にロシアの証券取引所は、外国為替取引や貴金属取引で米ドルとユーロの使用を停止し、これらの通貨での金融商品取引も一時停止すると発表した。また、ロシア中央銀行は人民元を主要外貨と位置づけ、「人民元とルーブルの交換レートの基準とする」方針を示した。

米ドルとユーロの取引停止により、ロシア国内で不安が広がっている。経済・銀行情報を提供するBankrolloチャンネルがTelegramでサンクトペテルブルクの為替商の店頭にできた長蛇の列の写真を投稿し、注目を集めた。このチャンネルは30万人以上のフォロワーを持っている。

Bankrolloは、米ドルの為替レートが大幅に上昇していると報告し、Norvik銀行が新たに設定したレートが1米ドルにつき200ルーブルであると伝えている。一方、モスクワの証券取引所では、米ドルとユーロの使用停止前の6月11日の終値で1米ドルが89.10ルーブル、1ユーロが95.62ルーブルであった。

ロシア中央銀行、緊急措置として人民元供給を増やし、一日の取引量が新記録を達成

米ドルとユーロの取引停止を受けて、ロシア中央銀行は人民元への依存を強化している。6月13日には、通貨スワップ取引を通じてロシアの商業銀行に142億元の人民元を1742億ルーブルで貸し出し、これは2023年1月以降で最も多い日間取引量となった。以前、ロシア中央銀行は人民元とルーブルのスワップ取引の上限を100億元に設定していた。

しかし、14日にロシア中央銀行は、中ロ間の通貨スワップ枠を以前の2倍に増額し、200億元の人民元まで引き上げたと発表した。この措置により、人民元はロシアの銀行にとって外貨準備を補強する主要な選択肢となった。

ロシアが新たに4つ、中国の決済銀行をリストに加えた? これにより中国の銀行が無差別な制裁の対象になる可能性が高まる

金融制裁が厳しい状況の中で、ロシアは中共により依存しており、中共も協力的な姿勢を示している。最近、ロシアが6月に新しく追加した4つの決済銀行の情報は、中国の主要なポータルサイトやソーシャルメディア、捜湖や新浪微博を通じて、上海市政府や山東省政府の経済貿易関連のプラットフォームが共有している。これらの銀行には、吉林銀行、長春農商銀行、長春発展銀行、延辺農商銀行が含まれる。

さらに、新設された銀行が琿春銀行のルーブル決済チャネルを共有しているとの情報がある。

4月26日、中国版TikTokの抖音で、中ロ貿易の仲介者が、琿春銀行がロシアとのすべての貿易取引の支払いをサポートし、税金の返金も行っていると述べていた。業界や銀行の種類にかかわらず、相手方の銀行が制裁リストにあっても、商品が制裁対象であっても、取引は可能だとしている。

欧米がロシアに科している広範な経済制裁に対応し、中国の主要銀行である工商銀行、建設銀行、中国銀行はロシアの金融機関との取引を停止している。しかし、SWIFTシステム非加盟の中国地方の小規模銀行は、人民元国際決済システム(CIPS)を通じてロシアとの取引を続けており、取引量は増加している。中共の公式メディアである鳳凰網が5月25日に報じたところによると、吉林省の琿春、敦化、東寧、長春、綏芬河の地方銀行では、新規口座開設の顧客が数か月待ちだという。

この問題について、李恆青氏は、これらの銀行がSWIFTシステムに接続していなくても、アメリカやEUの制裁違反には当たらず、制裁回避にもならないと指摘している。

「中共が自己規制をせず、ロシアのウクライナ侵攻を支援し続ける場合、西側諸国は最終的に中国の全銀行に制裁を加えるだろう。中国の銀行は国有企業であり、共産党政権と密接だ。西側は中共の行動を抑えるため、個々の銀行の証拠を集めるよりも、中国の金融機関全体に制裁を課す可能性が高い。その結果、中国の全銀行が制裁の対象になる可能性がある」と李恆青氏は述べている。